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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.42 )
日時: 2012/03/13 16:51
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)

                   ……

巡を攻撃していたビビジガンであったが、巡の背後———ウォーカーと美優を一瞬自分の視界に入れ——すぐさま巡の方へ視線を戻したかと思った時、巡の背後に居た2人は異変に気付く。

『………何か変な音がしない…?』

先に気付いたのはウォーカー。美優は「言われてみれば…」とその異変…"音"に気がつく。そして瞬間…2人を襲う。下から出てきた岩塊が、2人を直撃したのだ。

『うぁぁっ…………!!!』

「きゃあぁぁぁ!」



                   ……

2人の悲鳴を聞き、巡はつい2人の方を見てしまう。ビビジガンは、それを見逃さなかったのか一気に攻撃をたたみ込む。

「うぐっ…………!!」

油断していたのか、防御も全くせずに直撃する。そのまま後ろの壁まで吹き飛び、衝突。先刻のビビジガンの攻撃で美優とウォーカーは左右に倒れたのか、巡とはあたらなかった。

「啓一君!!」

叫ぶ。そして駆け寄る。———が、身体が動かない。美優は手首と足首に違和感を感じたため、其処へ目線を向ける。其処には———地面から生えてきた岩があった。しかもそれは曲線を描いており美優の手首、足首を拘束している。

「な、何…これ!」

美優は必死になって岩の手錠を取ろうとする。が、頑丈で全く取れない。ウォーカーも取ろうと協力するが、全く歯がたたない。背後からビビジガンの声がした。

「俺の岩塊で出来た岩手錠は結構頑丈でな?女子供なんかで取れる物じゃねーよ。…………これで、傷は治らなくなったな。」

どうやらビビジガンは美優が手を使って傷を治すことを知っていたらしい。故に美優達を攻撃したのだろう。巡は未だに動く気配がない。

このままでは次はウォーカーがやられる番だろう。ウォーカーは覚悟を決めたが、まだ希望を持っていた。

『啓一…!聞こえるか、啓一!!』

ウォーカーは、ビビジガンに気付かれないように巡にテレパシーを送る。静かに目線を巡の方へ向けると、巡の指が少し動くのが見えた。どうやら聞こえているらしい。

『聞こえてるね…!今、動ける?』

ビビジガンがゆっくりと、確実にこちらへ迫ってくる中、ウォーカーは少し焦りを見せながら巡へと話しかける。

すると、背後から小さい呻き声のようなものが聞こえた。きっと"Yes"のサインだろう。そう思いウォーカーは話を続ける。

『ビビジガンは体術がすごい。………それと同時に地形も操る。……だけど、防御力はあまりないんだ。だから、アイツの攻撃を避けながら攻撃を入れるんだ。…出来る?』

ウォーカーの問いに、巡は応えない。きっと"No"のサインだろう。流石の巡でも、あれだけの攻撃を受ければへばるのは当然だ。

『じゃあ…啓一の体力が戻るまで、僕が————戦うから。』

そう言うと、ウォーカーは腰をあげ、立ち上がる。ビビジガンを睨み、冷や汗を流す。どうやら倒せる確信がないようだ。少し脚が震えている。"殺されるかもしれない"という思いが、ウォーカーの脳内を這いずり回る。しかし、彼は首を振り、相手をしっかりと見つめる。