ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.43 )
日時: 2012/02/10 14:31
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)

                   ……

イメルシの洞窟内…其処は戦いの真っ最中だった。土のクリスタクトのビビジガンと相対するのは、イルシュオンの案内人、サイレント・ウォーカー。ウォーカーの背後には、手首、足首を拘束され動けなくなっている神崎美優と、彼女の背後にいる巡啓一の2人がいる。

ウォーカーは出来るだけ時間稼ぎをするため、攻撃には出ず攻撃を避け続けている。しかし、上下左右から襲いかかる岩塊に脚をすくわれ、直撃し、なかなか攻撃が避けれなくなってきていた。

ウォーカーにも限界と言うものがある。今まで攻撃を避け続けてきたウォーカーだが、ついには体力が持たなくなってきた。それというのも、ビビジガンは拳だけでなく、地形を操っているのだから。

しかし、それと同時に巡の体力も戻りつつあった。彼は人一倍傷の回復が早く、切り傷などをしても一日で治ってしまうのだ。

ウォーカーは必死で拳と岩塊を避け続ける。が、次の瞬間、岩塊に脚をすくわれバランスを崩し、防御体制が解けたところをビビジガンの攻撃が一閃。

ほんの一瞬だった。

最初の方は、ウォーカーが動き回り、ビビジガンがもてあそばれていた感じだったのだが、一瞬脚をすくわれただけでウォーカーは戦闘不能になってしまった。それが語るのは一つ。

———ビビジガンの拳が、とてつもなく重いということ。

ウォーカーは動かなくなっているが、かろうじて意識は保っている。ウォーカーに代わり、巡がゆっくりと身体を起こす。

巡が立ち上がったことに対し、目を見開く人物が2人。敵であるビビジガンと、味方である美優の2人だ。

ウォーカーは知っていたので目を見開きはしなかったが、それでも巡の回復力の速さに驚いていた。

「け、啓一君…!怪我は大丈夫なんですか…?」

美優が恐る恐る聞く。巡は一度ビビジガンに視線を送り、直ぐに美優の方へ向くと少し微笑み、「あぁ、大丈夫だ。」と言った。

巡に視線を送られたビビジガンは驚いてはいるが、直ぐに余裕の笑みをこぼし始めた。理由は、今の巡の身体では自分に勝てるわけがないと思ったからだ。

意識がもうろうとする中、ウォーカーは巡にへとテレパシーを送る。

『良かった……もう、立て…るんだね?』

少し言葉が途切れ途切れだが、しっかりと伝える。巡はうなずき、歩き出す。ビビジガンの方へ向かって。

瞬間、ビビジガンの背後からものすごい勢いで土の塊が飛来してきた。

その時ウォーカーのテレパシーが、こう伝えてきた。

『集中して、敵の攻撃を……見るんだよ…!』

今にも消え入りそうな大きさのウォーカーの声。しかし巡はしっかりとキャッチし、自分の頭の中で整理する。ウォーカーのことを信じ、逃げようと思ったが立ち止まり、敵の土の塊を見る。

しかし、土塊が眼前に来てしまったため、巡はつい目を閉じてしまった。

生理的な反応だが、普通戦闘中はやってはいけない行為に近いことを、巡はやってしまった。目を閉じてしまっては、敵の攻撃はおろか、敵の姿さえも確認できないのだから。

しかし…数秒待っても土塊が直撃することはなかった。

なぜなら—————————土塊が巡の眼前で、"止まって"いたのだから。