ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.45 )
- 日時: 2012/02/19 17:59
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
ウォーカーの視線の先…巡が立っている。直立で。脚を開けるわけでもなく、普通に立っている。戦いの最中は、直立立ちをするのはめったに無い。
ウォーカーは、巡を見て不思議に思ったことがあった。
それは——————巡が、"笑っている"と言うことだ。
先刻までは、痛みの苦痛で表情が歪んでいたのだが、今は、笑み。ビビジガンと同じように笑みを浮かべている。
巡の笑みを見て、不審に思ったのか、ビビジガンから笑みが消える。
「何………笑ってんだ?」
つい唐突に、敵に疑問をぶつける。巡は自分が笑っていたのに気付いて居ないようで、「え、俺?」などと言っていた。その言葉がビビジガンの癪に障ったのか、ビビジガンの表情はさらに険しくなっていった。
「俺、知らぬ間に笑ってたんだ。………あれ、美優、何してんの?」
巡は少し左後ろの美優に言う。彼女は「な、何でもないの」と言って両手を横に振り、否定を示す。
巡は其処まで探求するつもりは無かったのか、「あ、そう」と言い、再び前を向く。
———瞬間、巡は後ろへ吹き飛んだ。
美優とウォーカーは何が起きたか分からず、飛ばされた巡の方を見るしか出来なかった。
何故巡が飛んだのかというと…ビビジガンが土塊を飛ばしてきたためである。しかも先刻の倍の量で。隙がありまくりだった巡に当てるということは、彼にとって造作も無い事だった。
ウォーカーは巡が心配なので駆け寄る。そして、さりげなく自分が疑問に思ったことを言ってみる。
『力を…使えたの?』
「!」
自分しか知らないはずのあの出来事が、今目の前に居る案内人が知っていることに、巡は驚愕を隠せず、言葉として答えは出さず、首を縦に振ることで意見を表した。
「力って……俺…一体何なんだ?体育館でも、式也に……。」
巡はこの世界に来る前の出来事を思い出し、体育館で式也に言われたことを思い出していた。
『…校長に何て言われたの?』
ウォーカーは詳しく聞いてくる。別に巡は話して損はないので(まあ得もないが)ウォーカーに話す。
しかし……話している間にビビジガンが襲ってきたらどうするつもりなのだろうか。
そう思ったウォーカーは、そのことを巡に言うと、巡は美優のところへ行き、一言言い戻ってきた。
何と言ったのか疑問で、聞こうと思った瞬間、巡、ウォーカー、美優の周りを白い結界が覆った。
どうやら美優の技らしい。なるほど、コレで奴の技を防ぐのか、と思ったウォーカーだが…
『力使えば早いじゃん。』
そう、巡の力は"時を止める"のだから、ビビジガンの時間を止めてしまえばいいのではないか。
だが、
「そうかもしれないけどよ…まだ使い方もわかんねーし…第一止め方もわかんねーし。」
これでは駄目だろう。仕方ない、と思いため息をした瞬間…
結界から、大きな音が鳴り響いた。