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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.48 )
日時: 2012/03/10 21:16
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

美優の温かい、しかし芯のある声で、巡は決心する。美優に後ろの流れ弾を任せると。しかし全ての土塊を任せるわけではない。基本的には巡が土塊を破壊し集中する。

「くそっ……!」

ビビジガンはまだ土塊の数を増やす。それに合わせ巡も集中力を高めるスピードを増していく。そしてビビジガンが第二派を打った瞬間、土塊が"全て"停止した。その事に動揺を見せたビビジガンの隙をつき、

———今だ!

行く。

ポケットから出したナイフを握り締め、一直線に走っていく。ビビジガンへの最短距離だ。時たま巡は時を止め一気に距離を縮めていく。

「はああぁぁっ!!」

懐に潜り込ませたナイフを一気に前につきだす。力いっぱいに。

音が響く。

ナイフがビビジガンの肉を引き裂き、骨を断ち切り、貫通する。

声が響く。

ビビジガンの、奇声とも言える悲鳴のようなものがあふれる。

その声に、苦痛の表情を見せる人間、悪魔、魔物。種族は違うが感情の感じ方は一緒らしい。

ナイフはまだ身体を貫いている。数秒後、ピタリと奇声が止む。

巡は表情を表に出さず、そっとナイフを抜き取る。案の定、ナイフはぬれていた。朱の雨に打たれたように。

「啓一………君。」

背後の少女が問う。

「……………………。」

問われた少年は何も答えない。否…答えられないのだ。彼は無表情だが、内心は何も思っていないわけではないだろう。それを分かっているのが白髪の少年だろう。

「………………。帰るぞ。」

少年はそう呟く。どうやら此処から早く出たいようだ。後ろの2人は静かにゆっくりと頷く。

3人が出ようと背を向けた時———光が生まれた。