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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.49 )
日時: 2012/03/10 21:19
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

背後の光は、薄く、しかし認識出来る程度の発光をしている。

巡はゆっくり振り返る。

そこにビビジガンの姿は無く———代わりに、鉱物があった。

「これは……。」

薄い茶色に、黄色掛かった光を放っている発光物質。きっとこれが式也の言っていた結晶なのだろう。

『これが、"土の結晶【クリスタル】"だよ。……初めて見るな…。』

「…お前も初めてなのか?」

『うん。資料でしか見た事ないからね。しかも古い文献にしか載っていないから、絵とかがいろいろぼやけてて。』

「なるほど…。思ったより綺麗だね!」

「そうだな。」

3人は数秒その結晶に見とれていた。しかし巡が結晶を手に、

「さて、これをクソ式也に渡さなければならないが…。」

『移動法は最初来た時と一緒にするね?』

「おう、了解だ。」

「……………ちょっと、2人とも…。」

美優が顔を俯けこちらに来る。

「…どうした?」

巡は問う。

「………ゴメンね。」

謝る。

「…?」

巡は急に謝られたので何が起きているのか全く分かっていなかった。

『どうしたの、急に。』

ウォーカーが気になり問う。

「私…馬鹿みたい、啓一君が頑張っていたのに、私何にもしていなくて…。しかも私がいたから啓一君に迷惑かけちゃって…。ウォーカー君にも迷惑かけちゃった…。私、皆に迷惑かけてばっかりで、何にも役に立ってないよ…。……ゴメンね…。」

「美優…。」

正直、巡は彼女がこんなにも思っていたことなど分かりもしなかった。戦闘中後ろから応援してくれたし、いつも明るくて悩みなんてないんじゃないか?なんて思った事もあった。

しかし———今の彼女は明るくもなんともない。

思考が後ろ向きになっているし、自分を責めてしまっている。これは巡が知っている彼女では、ない。

「ゴメンね…。」

今も彼女は自分を責めている。折角魔物を倒したと言うのに、今度は別の問題が発生するとは。

「…謝る必要なんてねぇ。お前は俺達を守ってくれた、それだけで十分だからな。」

巡は自分の思った事を素直に吐きだす。ついでに微笑も加えて。美優は一呼吸すると、静かに顔をあげていく。目は少し潤っていた。