ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.51 )
- 日時: 2012/03/13 16:29
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
いつもの螺旋階段を上がり、校長室の目の前まで来る。
巡はふと脚を止める。後ろからついてきたウォーカーと美優が巡が止まったのでつんのめって彼の背中に激突する。
「啓一君…急に止まらないで…。」
意外と痛かったのか、額をさする動作を見せる美優、ウォーカーは尻餅をつきまだ立っていない。
「あ、悪い。」
「どうしたの?急に立ち止まって…。」
「…美優、先入ってくれないか?」
巡は一歩後ずさりをする。どうやらよほど校長室が嫌いなようだ。否———校長室の中の、式也が嫌いなのだろう。
「え?別に良いけど…。」
「悪い!!恩にきる!」
巡は顔の前で手を合わせる。よくお願い事をするときに使う、"おねがいポーズ"だ。
美優はやれやれと思いながら、校長室の扉を開く。
開けた瞬間———黒髪が飛来してきた。
……
黒髪は、扉を開けた美優に飛びつき、小声で「よしよーし」とか言っている。
「……おい式也…?」
後ろでドン引きしている巡とウォーカー。もし自分がこの扉を開けたなら、自分があんな事をされていたに違いない。
———悪いな美優……。
なんだかよく分からないが罪悪感で心が痛くなってきた。巡は自然と心臓のあたりに手を当てる。ウォーカーもそうなのか、既に胸に手を当てていた。
「ちょ、はっ、離れてください…!」
美優は嫌そうに式也をはがそうとする。しかし相手は男、しかも青年程の歳だ。力の差がありすぎる。少女一人の力ではどうすることもできないだろう。
「おい式也…離れないとこれ、捨てるぞ。」
これ、と言い巡が取り出したのは、土の結晶。式也はあっ、と言う言葉を漏らした後、少し間を置き微笑むと、
「いいのかい?それが無いと君達は元の世界に戻れ無いんだよ?」
まさに悪い顔だ。そういえば、という巡の焦りの顔を見て、式也は許したのか、「まあそんな事しないけどね♪」といって美優から離れた。
椅子に座ったところを、巡は率直な疑問をぶつける。
「なあ、もし、もしだ。」
前置きをする。
「もし、俺があの時扉を開けていたら…どうするつもりだったんだ…?」
「ラリアット食らわせてたかな?」
よかった、変態では無いようだと安堵をする巡、今度はウォーカーが巡同様の質問をすると、
「軽く"猫耳"持って走ってたかも。」
前言撤回、コイツは確実なる変態だろう。しかも女子供に対して。しかし巡は除外され再び安堵の表情、ウォーカーは物凄く嫌そうな顔をして後ずさりをしている。
「美優…よ、よかったな。」
巡は一体何を言ったらよかったのか分からず、なんだか一番罰が軽そうな美優に言う。美優はこちらを見、「罰?」と疑問符を浮かべている。
罰、すなわち、
「アイツのする事が、俺達にとってマイナス…"罰"って事だ。アイツ自信は気付いていないようだが…。」
「ってことは、式也さんは無意識に私達に"罰ゲーム"をしている…ってこと?」
お、と巡が関心の声をあげる。
「そう言うことだ。お前案外理解早いんだな。」
「凄いでしょ!」
意外と皮肉っぽい言葉でも、美優は前向き思考に考える脳がある。それはそれで凄いのだが、行き過ぎると変な妄想が始まってしまいそうで怖い、と思うのは巡だけなのか。はたまた皆そう思っているのか。