ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.52 )
日時: 2012/03/13 16:31
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「そうだ、これ持ってきたが……。」

巡は土の結晶を式也の眼前に指しだす。式也は一度席の後ろにあるくぼみを見、親指でクイクイッと後ろのくぼみを指差した。どうやらはめ込んで欲しいようだ。

「…場所は、何処でもいいのか?」

くぼみの配置は三列あり、上下段が2つずつ、真ん中の列が3つある。それぞれのくぼみにはそれぞれの色がくぼみの部分に塗られていた。

「いや…えっと、一番上の列の左の方に入れてくれるかい?」

「あぁ、此処か。」

カチッ、という音とともに、鈍い薄茶色の光を一瞬放ち直ぐ光は消える。光が消えた後はくぼみにしっかりとはめ込められた土の結晶が存在した。

「いやぁ、まさか本当に持ってくるとは思って無かったよ。途中でのたれ死んでるのかと思ったよ。」

さりげなく酷い事を言うなこいつ、ということをいうと後後面倒な事になりそうなので胸の中にとどめておくことにした。

「啓一君…。」

隣で、こちらを向き右手で口元を隠し左手でこちらを手招きする美優が声を掛けてきた。どうやら耳を貸して欲しいらしく、呼びかけの声も小さい。

巡は素直に美優の方に耳を傾けた。前で式也がヒューヒュー言ってるのを無視して。

「式也さんって…酷く無いですか?」

まさかの美優も式也の発言に"酷い"と感じたらしい。流石式也、前向き思考の人にでも酷いと思われている。

———あれは、ああ、嫌われるタイプだな。

いきなり巡は式也の解析を始める。率直な意見は"アイツは嫌われる"ということだ。

「そうだ。」

先刻まで椅子でポンポンはねていた子供のような青年が、いきなり発言を始める。

「君達、疲れているでしょ?だからいったん此処で休んで言ったら?」

何と言う悪魔のささやき。きっと休んでいる間に何かされるに違いない。そう思った巡は否定の言葉を出そうとしたが、式也がとてつもなく"断ったら殺すよ"的なオーラを出していたので直ぐには出なかった。

「すいません式也さん、私、この世界をもうちょっと詳しく知りたいので、休むのは後日にします。」

発言したのは美優。ストレートといえばそうだが変化球といえばそうとも言えるような返しに、式也は一度呻り、何度か考えた後、

「うーん…仕様がないなぁ…じゃあ今度絶対ね?」

「はい、分かりました。」

———流石美優、上手く切り替えたな!

心の中で凄く美優を褒め称えている巡。きっとウォーカーも同じ気持ちだろう。しかし今度絶対、という約束をしてしまった。これでは今はかわせても今度は無理だろう。

「じゃあ式也、俺達ウォーカーのいた村に行ってくるからな。」

そう言って巡は美優とウォーカーを自分の方へ引き寄せ颯爽と校長室から出て行った。







———後に残った式也は無言で、しかし確かに笑っていた。