ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.68 )
- 日時: 2012/06/02 19:50
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「ったく…2人いるんだったら最初から言ってくれよなぁ。」
カジュネス邸内。3人はソファに座り、目の前には2人の"カジュネス"が座っている。そして巡は横目でルナヴィンを見る。見られたルナヴィンは睨まれたと勘違い、ひどく肩をすくませていた。
「こらこら、訪問者さん。彼怖がっているじゃないですか。」
片方の、柔らかい感じのカジュネスが怒ったような、少し笑っているような表情で言う。言われ巡は見るのを止めたが、ルナヴィンは不安なのか恐る恐るだが巡をじっと見ていた。
「えっと……お前ら、名前は?」
巡は目の前に座るカジュネス達に向かっていった。カジュネス達が口を開こうとした瞬間、妨害が来る。
「啓一君、初対面の人には敬語を使わないといけないでしょ!」
母親かこいつ、と密かに思ったと言うと美優に怒られるので巡はあえて口には出さず、相手の言葉を待った。相手は苦笑し、先ほど喋った柔らかい感じのカジュネスが口を開いた。
「私は、メアリ=カジュネスです。よく天然って言われるんですけど…なんでですかね?」
聞かれても困る。
見た感じ優しそうで、ふわふわした帽子をかぶっている。2人ともドレスを着ているのだが、メアリの方は少し重そうで柔らかい生地のようだ。
「じゃあ、次はわたしか。」
もう片方のカジュネスが立ち上がる。
「わたしはエミリ=カジュネス。少年、わたしのことはちゃんと覚えたか?」
頬を少し緩め笑みを見せるエミリ。彼女の帽子はRPGに出てくるような賢者のような帽子をかぶっており、色は薄紫。ドレスは軽めで、動きやすそうな生地だ。通気性がよいのだろう。
数分後、巡達の自己紹介も終わり、皆打ち解け和気あいあいとしていた。が、何か忘れている気がしてならない巡は一生懸命思い出していた。何故このカジュネス邸に来たのか。その目的とは、
「ロンリー!!」
いきなりテーブルに手をつき大きな声を出す。目線は何処を見ているのか分からないが巡には何か見えているのだろう。
「うむ?少年、ロンリーの知り合いか?」
そういいエミリが腕組を解く。巡がいや、と前置きをして、
「俺じゃねーよ。ルナヴィンなんだ。な、そうだろ?」
急に自分の名前が出てきて驚いたのか、ひゃ、という声を漏らし肩を動かす。大丈夫かコイツ、と巡が思ったがやはり口には出さない。こう言うところが巡のいいところだろうか。
「困ったな、今ロンリーは買出しに行ってるんだが。」
「お姉さま、あの子は仕事が早いので直ぐに帰ってくると思いますけどね。」
「メアリはそう思うか?なら早く帰ってくるのではないかな。少年、ロンリーは直ぐ帰ってくるそうだ。」
「お前ら姉妹だったのか!?」
今日で一番びっくりしたことだった。知らなかったのか?という意外な目で見られる巡。みれば分かるでしょ、という美優の呟きに、ついに巡の心はぽっきりと折れてしまった。彼は意外とナイーブな心の持ち主なのである。
「あぁ、そうか、俺は姉妹も区別出来ないクソなのか、そうなのか………。」
1人でぶつぶつ言ってソファに対してうつ伏せで倒れこんだ。一瞬死んだのかと思い美優が近寄るが大丈夫らしく、安堵のため息をついていた。