ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.69 )
- 日時: 2012/06/02 19:51
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「たっ、只今戻りました!」
数分後、息を切らした声が扉のあたりから聞こえてきた。それを聞いたカジュネス姉妹は、エミリはすくっと静かに立ち上がり、メアリは扉の元に駆けつけた。
「早かったじゃないか、ロンリー。」
エミリがそう言う。彼女の頬は少し緩んでおり、どうやら嬉しいようだ。ロンリーは人気者なのか、と思い巡が扉の方に目を向ける。そこには扉を開けるメアリが映っており、扉の奥から少女が入ってきた。
———女!?
外見は普通のチャイニーズガールと言った感じだ。髪には丸い髪留めをしており、服装は赤いチャイナ服。しかし動きやすいようにあまり生地は長めではない。チャイナ服の下には黒いスパッツを履いている。
ロンリーはエミリとメアリをみて、買ってきた材料を2人に渡し、ルナヴィンの姿を確認すると、一直線に走ってき、ルナヴィンに激突する。
「ぐふっ!?」
ロンリーが激突してきたため苦痛の声を出すルナヴィン。一瞬よろけるがしかし、しっかりとロンリーを支える。
「ろ、ロンリー、急に飛びついてこないでよ……。僕の内蔵が破裂しちゃうじゃんか。」
苦笑いで意外と怖い事言うなコイツ、と巡が思う。やはりリムーヴァルクの住民は皆こちらと少し感性がずれているのかもしれない。
「ルナヴィンの内臓破裂見たい!もう一回体当たりしていい!?いい!?内蔵は・れ・つぅ〜!」
なんだコイツは。
異常なテンションでルナヴィンに話しかけるロンリーという少女。話すたびに身体が揺れ黒い艶やかな髪が揺れる。
「い、いや、内臓破裂とかしたら僕死ぬから、死んじゃうから!!」
「ルナヴィンの死体見てみたい!もう一回体当たりするから動かないでね!ね!」
———待て待て待て、何なんだコイツは。異常か?此処の住民皆異常なのか?そうなのか?
横目でルナヴィンとロンリーのやり取りを見る巡と美優。美優の方は本当にルナヴィンが内臓破裂で死なないようにと回復術の準備をしているのか、手が淡く、白く光っている。
「ふふ、今日もロンリーは楽しそうですね、お姉さま。」
「もしかしたら、ルナヴィンが着たからだろう。奴がこの邸に来るのは久しぶりだからな。数年間会っていないんじゃないか?そうだろう、ロンリー。」
エミリはロンリーに言う。彼女は何度も頭をブンブンと上下に振り、しかし目線はルナヴィンから離さない。
「お、おい、大丈夫なのか?本当にルナヴィン内臓破裂で死ぬんじゃ……。」
「あれがあの子の愛情表現なんだよ。それ故に皆から嫌われていてね……。『あの子に好かれたら攻撃されて死ぬから近寄るな。』って。でも…ルナヴィンはそれでもあの子の元に行った。ルナヴィンは、ロンリーの初めての友達なんだよ。」
エミリは少し悲しそうな、嫌な思い出でもあったような顔をして話してくる。ロンリーも大変なんだな、と巡もため息をつく。どうやらこっちの世界にも"差別"というものは存在しているようだ。それも、自分たちの世界より酷いもの。
再び、扉が叩かれる音がした。