ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.75 )
- 日時: 2012/06/11 21:41
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「あっ……ぐぅ…!」
苦痛の声を喉の奥からしきりに出す。これ以外の声は出せないようで。今なお謎の攻撃は続いている。前兆がないため避ける事は不可能。只巡の身体が傷ついていくだけだった。避けようにも、今からでは遅い。身体にダメージを受けすぎた。今彼の身体は至るところから血が溢れている。
「啓一君、一つ聞くけど私の名前、きちんと聞き取れた?」
女性が声を掛けてくる。急な攻撃を仕掛けてきたため巡は相手の名前を聞くことすら間々ならず謎の攻撃を全身で受ける事になったのだが、相手はその事を百も承知。彼女は笑顔で巡をからかうように、
「あぁ、私の攻撃で聞こえなかったんだっけ!御免御免!もう一回自己紹介するね!私の名前は風・鈴(フォンリン)。体術が得意なの。」
不意に風・鈴と名乗った女性は巡の眼前に来る。来た瞬間巡は目を見開き動けなくなっていた。それに伴い謎の攻撃も止まっていた。
———今なら風の壁も無いはず…!逃げるなら今だ!
そう思い踵を返し一直線に来た道を帰ろうとする。すると再び暴風が巡の足止めをする。これを行っているのはあの風・鈴という奴だな、と思い背後にいる風・鈴に声を張る。
「おい!この壁をどかしてくれ!俺は帰らないといけないんだ!」
フフ、と嘲笑の篭った笑みで巡の言葉を静かに数度詠唱し、口を開く。それは否定の言葉で
「断るわ。私は貴方に用が合ってその髪飾りを飛ばしたんですもの。」
「何……?」
今思うと、髪飾りが飛んだ時の暴風と、先ほど目の前で結成された暴風は同じものだった。俺を嵌めるために仕組んだのか、と内心思ったが表情に出すと相手の思う壺だ。出来るだけ表情に出さないようにしていたのだが、
「フフフ…私が、ビビジガンの仇を取ってあげる!」
と言う言葉に、ついに表情が顔に出てしまった。
今自分の顔は驚きで引きつっているだろう。鏡を見なくても分かるほど今自分は驚いている。何故風・鈴からビビジガンという単語が出てきたのだろうか。考えられる要因は二つほどなのだが、
一つは、風・鈴がビビジガンの身内だと言う事。家族や親戚の場合は仇と称して自分を攻撃してくることも可能だ。もう一つは、
———風・鈴が、クリスタクトだと言う事!
巡が思っているのは後者の方だ。明らかにビビジガンより能力が強いのは感じて分かった。すればこの風・鈴は2人目のクリスタクト…。
「私は、風のクリスタルの保持者…風のクリスタクトよ!」
風・鈴の声と共に、暴風と風の羅列が巡の身体を抉るように襲いかかった。