ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.76 )
- 日時: 2012/06/21 20:38
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「……遅い………。」
残された美優達4人は巡の帰りを待っていたのだが、数十分経っても帰ってこない。何かあったのではないかと心配の表情を見せる皆。ウォーカーは何かを決意した顔をしており
『こんなに遅いなんておかしいよ。きっと啓一に何かあったんだ……。僕たちも啓一の後を追おう!』
うん、と応答の声が3つ聞こえる。どれもタイミングは合っていなかったがしかし確実に一人ひとりが返事をした。
……
先刻居た場所から数分で、目的の近くまで来る事が出来た。往復で十分も掛からないので巡は既に帰ってきてもいいはずだが帰ってこないとなると何か事件に巻き込まれたのかもしれない。
あくまでも仮説であり、本当は巡は只道草をしていただけで何事もないかもしれない。今の彼女たちは巡に道草をくっていて欲しいと思っていた。事件に巻き込まれるより明らかにいいからだ。
「啓一君の姿…見えないね…。」
ふと、美優が呟く。彼女は辺りを見周し巡がいるか判断するが彼の姿は見つからない。どこにいるのだろうか。皆の不安は煽られていた。
「も、もしかしてこの森の猛獣に食べられちゃったんじゃぁ……。」
湖の手前には樹海があり、獰猛な猛獣がわんさかいるが、彼らは滅多に人に手は出さない。それは質問したルナヴィンも分かっていた。しかし滅多に出さないと言っても出すときもある。運が悪ければ猛獣に食べられる可能性も少なくはないだろう。だが、ウォーカーは否定の言葉を出す。
『啓一はそんなに弱い奴じゃないよ。あの猛獣だって一ひねりだったし…彼に限って猛獣に"負ける"って事は無いと思う。』
あくまで予想だけどね、とウォーカーは最後に付け足しをした。猛獣と言うのはウォーカーが最初に巡と会い、ダークサイド校に向かう途中に会ったライオンの事だ。その事を知るのはウォーカー1人で、聞いていた美優達は少し首をかしげている。
「まあ、啓一君は強いし、そこのところは心配しなくて大丈夫なんじゃないかな。きっと。でも…心配だなぁ…どうして帰りが遅いんだろう。」
うーん、と皆が呻る。皆考える事に必死な中、ロンリーは湖の方に少しだけ歩み寄った。
その歩みが原因だった。
「きゃっ…!」
強い風がロンリーを襲う。まるでこの先には進ませないぞとでも言わんばかりに。
彼女は風・鈴の作り出した"暴風壁"に侵入する事を阻まれた。彼女が暴風壁に触れた事によって湖の方面にいる風・鈴に侵入者がいると言う事が知れてしまった。
「あら……よかったわね啓一。お友達が尋ねて来たみたいよ。」
「…!!」
巡は未だ攻撃を受けており防御に集中し口を動かす暇が無い。しかし表情には出せる。友達、思いあたるのは彼女たちしかいない。自分を心配して追いかけてきてしまったか。だが彼女たちをこんな戦場に入れるわけにはいかない。どうすれば、と思った直後だった。
風・鈴が、笑ったのだ。