ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.80 )
- 日時: 2012/06/30 10:33
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
———あそこかっ!
風・鈴のかまいたちを避けつつ、美優達を探して必死になっていた巡。案外早く見つける事が出来た。が、巡はやはり動ける状態ではない。それに、美優が暴風壁に触れたため美優達の位置が完全に風・鈴に分かってしまった。
「あら……あんな近いところにいたのね、貴方の仲間」
「……っ」
巡は答えない。かまいたちを避けるので必死で答えられないのもあるが、何をどう答えたらいいか分からないからだ。下手に答えると風・鈴が美優達を攻撃しかねない。
美優達は巡の姿を確認したらしく、大声をあげて彼の名前を呼んでいる。しかし風と距離があるため意外と小さく聞こえる。しかし、一番聞こえるのは脳に直接くるテレパシーで、
『啓一!今どういう状況なの!?誰と戦ってるのさ!』
———この場で名前を言っても…相手に不思議がられるか、疑われるかのどちらかだな…どうするか…。
かまいたちを避けながら考え込む。しかし先ほどより急に速度があがった。少しなどという感じではない。"急激に"だ。
「っ!?」
急な速度変換に身体がついていかず、考える事を放棄した巡の脳は只本能的に目の前の攻撃を避ける事に集中していた。故にウォーカーからのテレパシーが響かなくなっていた。
「どうしたの?考える時間が無くなって困ってる?」
風・鈴がにこやかな笑顔になって問う。巡は額に汗を浮かばせている。そろそろ体力の限界のようだ。
———まずい……、これ以上は避けれない…!
そう決心したのか、巡は避ける事を止め静かに目を閉じる。風・鈴は、
「やっと死ぬ覚悟が出来たのね!?ビビジガンの仇……とってあげるわっ!」
先ほどのスピードとは変わらないが、量が増えた。
「うっ…ぐっ…」
未だに巡は目を開けない。集中し、息を潜める。
呼吸を乱さず、
微動だにしない。
そして———静かに目を開ける。