ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.81 )
- 日時: 2012/07/14 06:37
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
「よし……」
目を開けると其処は、白黒の世界だった。何もかもが止まっている。かまいたちも、風・鈴も、暴風壁も美優達もだ。
時間を止める。ビビジガン以来使っていなかったので感覚が無くなっているのかと不思議に思ったが案外そうでもなかったようだ。
使って数回だが、止められる時間がどのくらいなのか分かっていない。ビビジガンの時は最初と言うこともあり土塊に額がぶつかったのだが、今回はどうだろうか。
かれこれ一分程度たっているが、時間が動き出す気配はない。チャンスは今しかない、とでも言うように巡の心臓が跳ね上がる。
本能に従い、右足を地面につけ思い切り土埃を起こす。そして地面を跳躍する。途中にあるかまいたちは止まっているので目に見える。そしてあたっても怪我はない。それどころか痛みを感じない。所詮は風、止まっているのであれば殺傷力は無い。
そして右拳を構え、風・鈴との距離を急激に詰め、そして、空を切るほどの速さで振りかぶった。
直撃した。かと思いきや、
「っ!?」
かわされた。それも急に。避けた風・鈴は驚いた顔をして巡を見つめている。先ほどと表情が違うのは既に時が動き始めているからだろう。
———もう少し早ければ…………。
変に一分も待たなければよかった、といまさら後悔をし始める巡をよそに、未だ風・鈴は驚愕の顔を見せている。彼女からしたら急に目の前に巡が出てきたという感じだろう。
外野の美優達も驚きを隠せなかった。ルナヴィンを除いて。
「啓一君……まさか"時を止める能力"の持ち主……。 あっ…そうだ、僕の鞄の中に…」
そう言いルナヴィンは自分の鞄にがさを入れる。数秒して取り出されたのは石でできた剣の柄で、ルナヴィンはその柄を指でなぞる。
『ルナヴィン…それは?』
ウォーカーが聞く。
「これは、僕達の村に伝わる伝説の剣…名前は長くて忘れちゃったんだけど…お爺ちゃんがよく話してたんだよね、"この柄に剣を出現させる事ができるのは時を止める能力を持つ人物のみなんだぞ"って」
『啓一が、その"時を止める能力の持ち主"って言うのか?』
「僕はそう、信じてるよ」
ルナヴィンが強い眼差しでウォーカーを見た。