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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.82 )
日時: 2012/07/14 06:38
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「これを、啓一のところに持っていければ多分風・鈴には勝てると思う。でもこの壁があって……」

そう言って、ルナヴィンは暴風壁に触れる。案の定弾き返され、どうしたものかと考えていると、ふとウォーカーの頭の中に一つの案が出てきた。

『時間を止めたらいいんじゃないのかな?時間を止めれば風も只の空気になるわけだし……』

どう?と聞く前に3人から同意が得られた。しかし敵に気付かれてはいけない、そう判断したため巡にだけテレパシーを送る事にした。

『じゃあ、いくよ……』

大きく息を吸い、慎重に、しかし正確に巡の脳内に届くように集中力を高める。全体にテレパシーを送る事は容易だが、個別に送るとなるとそれは大変になる。それに送るべき対象が少量、送るべきでない対象が多量なほど、難易度もあがり大変になってくる。

『啓一、聞こえるかい?聞こえたなら、頷いて。 いいかい、一度しか言わないからよく聞いてね。相手の攻撃は避け切ってくれるかい?それと、ちらちらこちらを見ないこと。相手に不信感を抱かせちゃ駄目だからね。
 ルナヴィンが君に渡したい物があるらしいんだ。だけど僕達はこの暴風壁に防がれてそっちに行けない。だから君の力で時間を止めて、暴風壁を越えてこっち側に来て欲しいんだ。その時にルナヴィンが渡したい物を掲げて待ってるから、それを持って元の場所に戻って欲しい』

長い。

確実に届いたのだろうか。巡は問われたとき確かに頷いた。テレパシー自体は届いているのだろうが、内容が頭の中に入ったかが心配だ。彼の能力なしではこの作戦は成功しない。

きっと届いているはずなのだが、巡は反応を見せない。失敗したか、と思った直後、巡の手元に目がいった。そこにはしっかりとルナヴィンが持っていた"柄"が握られていた。

『!成功したんだね、啓一!』

歓喜のあまり、大きめの音量で彼にテレパシーを送る。彼は一度こちらに目線を向け、下の方で風・鈴に見えないように親指を立てて見せた。成功だ。