ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.83 )
- 日時: 2012/08/09 15:08
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
……
———つまり、あの風の壁を越えてルナヴィンの元に行けばいいのか。けど…どうする?隙を見せればおそらく風・鈴は総攻撃をしてくるだろうな。
かまいたちを避けながら考える。時間を止める際には少し時間がいる。だがそれは自身に対して"隙"になる。
時を止める、そう決心した時、巡の右手首にかまいたちがあたる。
「っ…!?」
右手首だけではない。他の、左手首、そして右足首、左足首を確実に当てていった。彼女が狙っているのは確実に"首"だ。次はおそらく———。
———俺の、"首"だろうなっ…次のかまいたちが来る前に止めるか?それともあたる場所が分かるなら受け止めるか?
一瞬、その思考に集中力を注いでしまったため周りが見えなくなった。そのときだった、今日一番の暴風が発生したのは。
みると、風・鈴が両手をこちらに向けひじを伸ばしきっている。何かを放つであろうサインに気付くのに、それほど時間は要らなかった。巡は彼女の思考を一瞬にして理解した。
———逃げも受け止めもせず、かっ……!とすれば時間を止めるしかないが…。
彼が心配するのは、時間だ。先述したように彼が時間を止めるのには少量時間が必要となる。時間を止める前に彼女の技が来てしまっては元も子もない。
全精神を集中させる。他は何も考えない。否、考えてはいけない。考えてしまってはこちらの命が危ない。生き残るためには、考えをやめることしかないのだ。
止めた。
そう実感し、目を開ければ其処は白黒の世界。だが風・鈴は既に技を放っていたらしく、ほんの数センチ前にいたらあたっていたという距離にあった。
「っぶねー…俺って運がいいのかもな。 さて、ルナヴィンの元へ行くか」
以前よりも時間を大幅に止めることができるのに気付いたのか、若干ゆっくり目に歩いていく。ルナヴィンは確かに"柄"を持っていた。しかし巡の目に入ったのは柄だけではない。
「…これは…刀?…いや、剣か?ウォーカーは剣があるだなんて言って無かったが………。 にしても、この剣、少し青白いような……」
そんなことはいいか、と思い巡はその剣を持つ。案外重くなかったが、若干の違和感が生じた。なんだか自分が探られているような、変な感じがしたのだ。
「何だこの剣………俺の事試してるのか?」
そんなわけ無いか、と思いつつ彼は元いた位置…否、其処から横にずれた位置に立った。いつでも時が動いてもいいように臨戦態勢になっていた。ふと、思った事があった。
———もしかしたら俺が"時よ動けー!"的な事叫んだら時が動いたりして…。この時間暇だし、いったんやってみるか!
そう思って、好奇心で、言ってみた。
するとどうか。白黒の世界は一瞬にして夜になり、真横を暴風が通り過ぎていく。草木や風の吐息も聞こえる。どうやら本当に時が動いてしまったようだ。
「マジかよー…って事は時よとまれって言ったらとま…らないか、流石に。まあこの剣があ…」
あれば、と言おうとして剣を見たところ、どうしたことか元の"柄"の状態に戻っている。不思議でたまらない。