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Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.87 )
日時: 2012/09/07 17:46
名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)


                   ……

「そうね、じゃあこの戦いで決着をつけましょうか。私が勝ったらもうクリスタクトは失われないけど、不可解な現象が多発する。貴方が勝ったらクリスタクトが倒されてしまうけど、不可解な現象は止み、世界に平和が訪れる、と」

「そういうことだな」

和解を目指していたのだが、相手はなかなかそうはいかず、結局彼女と戦うことになってしまった。果たして自分は彼女を倒せるのだろうか、と不安になるも覚悟を決める。

「手加減はしないと思うけど……いいわよね?」

「ああ、構わない」

と巡は言い、戦闘態勢を再び取る。彼女は取らないが、それは余裕から生まれるものだろう。しかし自分の実力はそこまでないとは思わない。彼女の余裕がどこまで保つのか気になる。

いざという時は時を止めてこの剣を使えばいいのだ、と巡は内心思い、地面を蹴る。砂埃が舞い上がり、足元が砂利だったため少し滑るが速度に支障はない。

一直線に走る。そして眼前で時を止め、斬撃を確実にぶつける予定だった。だからそうした。

しかし、それは実行には移らなかった。なぜならそれは、風・鈴が既にかまいたちを展開しており、巡は防御をしなければならない状況にいたからだ。

「クソ……っ!」

至近距離からの攻撃。防御も虚しく直撃してしまう。時をとめようにも時間が足りなかった。そのまま彼は数メートル後ろに吹き飛ばされる。そのかまいたちは先程とは比べ物にならない威力で、先程は手加減をしていたと感じた。

立ち上がろうとした瞬間、重さを感じた。だんだん、ではなく急にズシッとした重さが右手にかかる。目を移せばそこにはあるはずのないものが存在していた。

「これは…………柄から剣が出現してる……!?」

ありえない、とも、よしとも思った。この剣は時間を止めてる間だけ出てくると思ったがそれは巡の予想違いだった。だがこれで時間を止めなくとも攻撃ができる。

改めて風・鈴の元に走っていく。が足取りが重い。どうしたことだろうか。別に重りも何もつけていないにも関わらず、動きが鈍い。

『啓一!』

遠くから、ウォーカーの声が聞こえる。防風壁の影響なのか、少しノイズ混じりで聞こえてきたその声の方向を見れば、そこにはウォーカー達が焦りの表情を見せていた。何をそんなに焦ることがあるのだろうか。

ふと、足元を見る。そして巡は驚愕する。

自分の右足が、消えかかっているのだ。