ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: Every day the Killers †7つの結晶編† ( No.95 )
- 日時: 2012/11/30 21:27
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
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『啓一!?』
急に俯いていた顔を一気に振り上げ、危うく顎をぶつけそうになったものの、ウォーカーはなんとか避け、呼びかける。案の定彼はこちらを向き、不思議そうな顔をしている。何故ウォーカーが巡の横にいるのかが分からないのだろう。当然だ。彼はまだウォーカーたちが暴風壁の向こう側にいると思っていたのだから。
「ウォーカー…………俺は…………」
『結構の暴れ具合だったよ。 まあなんとか落ち着かせたけど。 …………暴行で』
「道理で身体の節々が痛いと…………って美優!美優はどこだ!!」
必死な形相で辺りを見回し始める巡。だが美優の姿は見当たらない。目には爛々とした光が戻っているものの、やはりまだ美優に執着しているのか、目はまだ曇っている。
巡の叫びも虚しく、美優は現れない。やはり現れないか、と悔しげな顔になる巡の肩を、叩く。
「啓一君!」
「うわっ!?」
急な、しかし聞きなれた声に、驚いて肩を跳ね上げる。肩を叩いた人物は美優で、彼女は満面の笑みで巡を見ている。彼が元に戻そうと努力していた人物は、その努力を知らないとでも言う顔でニコニコと笑っている。
「美優…………? お前、一体いつから……………」
「えっとね…………、ずっと暗い空間にいたんだけど、どこからか知らない人の声が聞こえてきて…………それで、気がついたら啓一君の真後ろにいた、って感じかな?」
きっと美優が聞いた知らない人の声というのは贄武器の声だろう。ちら、と手で持っている贄武器に目を向ける。そこには柄だけが残っているはずだったが、不思議なことに刃も残っていた。
———これは……………。
贄武器のサービスなのだろうか。それは分からないが、贄武器が何らかのことをしてくれたおかげで代償なしに剣が使えるのだろう。
「あら、お友達も元に戻ったのかしら」
遠くから、風・鈴の声がする。その声に対し、巡は彼女と相対し首を縦に数度振る。これから戦うのか、と巡が問うと、意外なことに風・鈴は首を横に振った。