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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 偽装失態 ( No.3 )
- 日時: 2011/12/09 18:31
- 名前: 緋紗 ◆svMdfnlanc (ID: X9/tG6Az)
<序章>
埼玉の連続殺人犯が逮捕されたニュースが新聞一面を覆いつくし世間は喚声を上げていた。
警察署の中から執行猶予が判決された殺人犯が黒いコートを着て顔を隠しながら出てきた。
マスコミはあっという間に押し寄せ人の波で埋もれた。
カメラのフラッシュで殺人犯の顔が一定のリズムで照らされた。
その時見えた殺人犯の顔についていた2つの目は憎悪と悲観に満ちた目をしていて瞳の部分がわずかに震えていた。
秩父の一人娘が家を飛び出た。
激しい怒鳴り声を上げた挙句の果て、大荷物を持って家を去ったのだ。
一人娘は家を出る際、ドアを力いっぱいこめて蹴り皮肉を残した。
(1人じゃなにも出来ない癖に…。家が大変なことになったら精一杯見過ごして見下して屈辱という敗北感を味あわせてやる…。)
その家は両親が亡くなり、電気代やガス代が支払えなくなってしまっていて残されたのは一人娘と一人娘の姉だけだったのだ。
よく姉妹喧嘩の声は近所の家の人々がきいていたもので真夜中に聞こえた人は不満をブツブツを漏らしていたものだったが、姉妹喧嘩の原因のい1人がここを去ったのでようやく静かになる、と近所の人はひそかに歓喜で満ち溢れた。
一人娘は埼玉の所沢に越し、格安アパートの契約を手早く済まし家から必死に搾り出した現金を大切に財布の中に入れた。
(仕事も何とか辞めなくてすんだ。 秩父から所沢はだいぶ遠いので悩んだが支店が所沢にあって助かったよ)
腰まである長い髪の毛を振り払い堂々と所沢の町を歩いた。
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