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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 偽装失態 ( No.4 )
- 日時: 2011/12/09 18:39
- 名前: 緋紗 ◆svMdfnlanc (ID: X9/tG6Az)
<序章2>
所沢の化粧品を扱う店、「華美」 で働く一人娘。
その名は『野山 夜絵』
夜絵の住むことになったアパートは風呂も付いていて値段の割には上等だったので金銭部分以外では困ることはあんまり無いだろう。
キャリーケースの中からぞんざいに服をとり、クローゼットの中にしまい荷物の整理を始めた。
(ふざけるな梨乃のやつ、あいつも仕事に追われているんだ。私より余裕が無い、哀れな奴だ)
舌打ちをし自分に言い聞かせた。
頭の良い者は必ず恵まれる、努力の証と知能を引き換えに。
私もいつか恵まれるだろう、人生で忘れられないくらいに。
そう、大金だって夢ではないかもしれない、恋だってできるかもしれない…
秩父から所沢に越した今、新生活が待っているではないか…
楽しみなことばかりのはずなのに金銭への欲望へと心が沈んでいった。
(結局は金なのよ 梨乃は私とちがって不細工で弱気だ)
確かに夜絵は美形だ。
切れ長の目に二重、高い鼻、すっとした顔立ち。
女優なみに綺麗だ、と学校や職場で言われたくらいだ。
文句など全く無い。
自分を褒め称えているうちに変な感覚が体全体を覆ってきた。
心臓の鼓動がはやまり笑いがこみ上げてきた。
(平気だよ…梨乃とは違う。)
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