ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 偽装失態 ( No.7 )
- 日時: 2011/12/10 17:49
- 名前: 緋紗 ◆svMdfnlanc (ID: X9/tG6Az)
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窓の外は純白の雪でいっぱいいっぱいだ。
すぐに皮膚が凍りそうなくらい外は冷え切っていたが部屋は暖房が機能していたので凍死だけはないだろう。
暖かい部屋の中で冷たい氷のような目をした少女がいた。
その少女は母1人だけと一緒に生活してきた子で母と同じような顔立ち、髪の毛の長さ…そして目力を持っていた。
その少女の名前は「野山 麻奈」。
適当に目の下くらいまである前髪をかき分け、腰まである長い髪の毛を束ねもせずいつもおろして生活。
洋服もワイシャツのような形をした膝上6,7センチのオフホワイトのワンピースを着て、黒いニーハイソックスを履いていた。
寒さは感じていないようにいつも無表情、人間のあたたかみが感じられないときが多かった。
その少女は自分の父親が「夏目 正志」…埼玉連続殺人犯ということを知らない。
ただ、母親、「野山 夜絵」に育てられただけで父親に興味関心は全く無かった。
§
12月14日、麻奈は学校に行く気もせずにだるそうに朝ごはんを済ませた。
母親は学校に行こうとしない麻奈に細則せずに放置している。
ふと麻奈は母親が自分に冷たい、もしくは放置状態…ということを考えた。普通の親なら最初くらいなら「学校へ行け」と言うだろう、しかし母親、夜絵はそれを言わない。
それどころか家の中でも口数が極めて少ない。
話すときと言ったら、勉強、呼びかけくらいしかない。
母は机の上にある車の鍵をとるとクローゼットの中のコートを取りながら麻奈に言った。
「麻奈、お母さんは仕事に行って来るね 多分夜の8時まで戻れないから来客が来たら必ず出るのよ 何かあったら電話してよね」
「うん」
「そういえば昨日も麻奈の友達来てなかった?」
「ああ…みのりのことか」
「みのりちゃんって言うんだ…へえ」
「……」
「何かしゃべりなさいよ…。」
そう母親は不機嫌そうに言って外へ出た。
母親は行動が早い。コートを取り出すときだっていつもどこかあわてている感じがする。
人生に急いでいるか定かではないがいつも私には不機嫌だ。
さっきの話の中で出てきた「みのり」という名前は私が唯一信用できる少女のことだ。
『月田 みのり』…学校に行かない私を心から心配してくれる温もりのある優しい心の持ち主だ。
みのりにはいつも迷惑をかけていると思っている。
学校で配布されたプリントや手紙などを毎日私のところに届けてくれる。そういう子だ。