ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ペンは剣よりも強し+ ( No.11 )
- 日時: 2012/01/04 13:32
- 名前: 清村 (ID: vgnz77PS)
「?」
『どうした途尋』
「いや、何でもない…」
途尋は何かに気がついたように空を見上げた
「なぁ、沃哉と南月さん見なかったか?」
「いや、今日学校来てないよ」
「最近ウチの学校不登校増えてるよね〜…これでもう4人目だって?」
「物騒だよね、誘拐だったりして…」
「な、なぁ、その不登校の奴って分かるか?」
「職員室に行って見れば?」
「あ、ありがとう!!」
途尋は教室にいた女子Aと女子Bに礼をして職員室に向かった
「失礼します、斑鳩先生、出欠簿見せてもらえませんか…」
斑鳩 爽太(いかるが そうた)
担任の先生
いつも白衣を着ている、メガネ、若い
「どうしたんだいそんな血相書いて」
「…」
斑鳩先生の言葉も耳に入らないほど
途尋は出欠簿を食い入るように見続ける
(…沃哉は無断欠席、南月さんも無断欠席か。泰嗣は十二指腸潰瘍で入院5日前から…門さんは一昨日から感染性胃腸炎……ウチのクラスだけでも4人も欠席か)
「墨川君と南月君は無断欠席なんだよね、年頃なのかな?」
「わかりません…失礼します」
途尋の背中を
斑鳩は何かぼーっと眺めていた
「ん?」
職員室から出たその左側に全学年全クラスの出欠状況がホワイトボードに書いてあった
3年3組
欠席2名 公欠(欠席扱いされないが学校側の公認の元欠席)2名
公欠になっているのはおそらく門と泰嗣であろう
…3年4組
…欠席2名 公欠0名
「3年4組だ!」
『何をそんなに焦っているんだ?』
「いや、何か嫌な予感がして…あ、君4組だよね?」
「う、うん」
通りかかった男子生徒に尋ねる
「今日欠席してた人って誰かわかる?」
「欠席?あ〜忌鋸君と窪崎さんだったかな」
「普通の欠席?」
「いや、喪中とか入院とか」
「あ、ありがとう!!」
途尋は走っていった
『今の話を聞いても何も掴めなかったぞ…』
「いいんだ、みんな俺みたいな境遇なんだよきっと」
『筆人か?』
「あぁ…」
教室でバッグに教科書などを詰め込んでいた
すると
「?なんだ?この紙切れは」
不思議な模様の書かれた紙切れが机に入っていた
「親指でこすってね♪って書いてあるぞ。こすってみるか…」
途尋の右手が淡蒼色に光ると
すると紙切れが淡い光を放ちだした
「!?」
途尋はバッグを残したまま消えた
—
「…ここは?」
「ここはアッバースです」
体を起こす沃哉の目の前に美青年が立っていた
そのサラサラと風になびく髪の毛は深い蒼色をしていた
沃哉の手が光る時と同じ色の様な
「あ、あなたは?」
「私はヨークです」
「……へ?」
沃哉は少し固まった
「あの、ヨーク?」
「はいそうです。ヨークです」
沃哉は無意識のうちにヨークに抱きついていた
「なっ!?どうしたんです!?」
「…いや、本当に無意識に抱きついてた…ごめん」
「いいですよ」
雰囲気はふわふわしていたが
それもまもなく
あたりを見渡してみると
誰もいなかった
「エリア5世は?莉緒たちは?」
「はぐれてしまったようですね…」
ヨークは冷静に言った
「どうする?あのエリア5世って奴からも何も訊かされてないぞ」
「おそらくオルデン国に向かうんだと思います」
「オルデン国??」
「オルデン国というのは筆人の国です」
「筆人の国…そこに行ってどうなるんだ?」
「正式な筆人になるのです」
沃哉は複雑だった
突然体内に現れた力に導かれ、状況も十分に飲み込めぬまま
謎の種族、筆人になり、しかも正式に筆人になるなど、理不尽にも程があった
「…俺はそこに行って何を得るんだ」
「それは世界が決めることです。世界のために、沃哉は戦うのです」
沃哉は歩きだした
ヨークは少し斜め後ろから付いていく
「行こう、ただ、前に進むんだ…」
「そうですね…でもそっちじゃないです」
「…」