ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ペンは剣よりも強し ( No.12 )
日時: 2012/01/04 17:17
名前: 清村 (ID: vgnz77PS)


「ここからどれくらいなんだ」
「ずっと東です」
「剣奴とかいないのか?」
「むしろいない方が不思議です」
「まじかよ…」


空に輝くのは太陽…ではなく、見たことのない恒星だった
色は真っ白で、所々にしみがあった
しかも1つだけではなく、もうひとつもう二周り小さい恒星だった
その恒星の色は青がかった色だった


「もうそろそろ行くと剣奴の巣窟ですね、この感じ」
「なんで分かるんだ?」
「剣奴のシンタを感じるからしょうがないんです。あ、【シンタ】って言うのは言わばスタミナのようなものです。シンタが無くなれば印を書くことも、魔法を唱えることもできなくなります」
「ちょっとまて、魔法を唱えるって、ヨーク魔法使えるのか?」
「いいえ?私は戦えません。戦うのは沃哉です」
「何言ってんだよ、もうヨークは俺の体から出て言ったんだろ?それなら誰が………まさか」
「そう、そのまさかです。私が筆に変身し、それで沃哉が印を書いたり、魔法を唱えたりします」


沃哉は少し信じることができなかった


「信じてないようですね、あ、来ましたよ、剣奴。デモンストレーションといきましょうか」


ヨークが言葉を言いきるとともに草むらから剣奴が1体出てきた
見たこともないタイプだった


「変身しますよ?いいですか?
「わ、わ、待て!!」


ヨークの体は深蒼色の光に包まれ、球体になった
その光の球体は沃哉の方へすぅっと飛んで行き
沃哉の右手に収まると同時に光は消えた
そこには筆が握られていた


「(今までの筆よりも少し、軽い、持ちやすい、暖かい…)…ヨーク!いくぞ!」
『待ってください』
「あ?」
『見てください、あのタイプは初めてでしょう。あれは魔獣型(ビ—スタ)といい、おそらく陸上で一番早い剣奴でしょう』


魔獣型は四足歩行で、大きな口で剣を咥えている
手足には鋭利なかぎ爪が
グルグルと喉を鳴らしている
外見はまるで百獣の王のよう


「そんなやつにどうやって勝てっていうんだよ…あ、トラップか」
『それもいいですが、魔法も使いましょう』
「どうするんだ?」
『戦いながら教えます』
「え、まじか!!」


沃哉の言葉の途中で魔獣型は襲ってきた
速いだけではなく、力もまぁまぁ強い
沃哉は筆を両手で鉛直に持ち剣を防ぐ


『魔法を唱えるのは簡単です、沃哉の場合は筆を持っていない左手にシンタを送るのです。そして魔法を唱えます』
「ど、どうやってシンタを送るんだよ。魔法ってどうんなかんじなんだよ」


魔獣型の猛攻を防ぎながらヨークを問い詰める


『センスです』