ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ペンは剣よりも強し ( No.13 )
- 日時: 2012/02/05 09:57
- 名前: 清村 (ID: vgnz77PS)
「はぁ!?冗談だろ!?」
魔獣型の猛攻は止まない
沃哉の脚も持つか持たないかの瀬戸際である
『試しに【アクア・イクス】、と言ってください』
「え?【アクア・イクス】?」
何気なくそのワードを口にした途端
左手が深蒼色に光った
「な、なんだ!?」
大きな謎の球体が現れ、魔獣型に触れた瞬間
水がはじけた
大きな音を立て、水が爆発した
「水が、爆発した!?」
『今のは【アクア・イクス】、水属性魔法です』
「ほ…魔法か…って、センス関係ねぇじゃねぇか!!」
『まぁ接頭語に修飾語を付ければいい話ですけどね』
「難しいワード羅列するんじゃねぇ!!」
沃哉は水爆発で魔獣型が吹っ飛んだ隙に印を書き始めた
「守護の印【禁水】!!」
沃哉を覆うように、水の箱が現れた
魔獣型は態勢を立て直し、地面を蹴り、こちらに向かって走ってくる
さっきよりスピードが高くなっている
「今だ!!【解】」
沃哉は機械を見計らったように【禁水】を解除した
『よ、沃野!?』
ヨークは驚いたようだったが
沃哉の口元は少し笑っていた
「ひっかかったな〜【禁水】」
魔獣型を取り囲むように水の箱が現れた
さっきよりも、もっと大きな水の箱だ
魔獣型は身動きが取れないようだ
手足をジタバタさせている
「正当防衛だからな…」
沃哉は水の箱に歩み寄る
左手で表面を触る
「【アクア…」
水の箱の中で、魔獣型が吠えているのが聞こえてきた
止めてくれ!!と訴えるかのように
こちらに向かって精一杯吠えている
しかしそれも遅かった
「…イクス】!!」
あり得ないほどの大量の水が爆発した
弾ける水は沃哉を襲わず
逆に沃哉を避けるように弾けている
肉片も何も残らなかった
ただ、剣が残っていた
しかし時間の経たないまま、灰になった
筆が光り、消えた
「お疲れさまでした」
「お疲れさまでしたじゃねぇだろ!!センスがどうとかいいやがって、こっちは命かかってんだよ!!」
「めずらしく熱いですね」
「い、いくぞ!!」
それから沃哉とヨークはオルデン国に向かって歩き出した
沃哉は魔法を覚えた
—
「こ、ここは何処なの?」
「ここはアッバースってゆう世界だよ」
「エリア5世様…私たちは何処へ向かえば」
「オルデン国だよ」
「どこなの?そこ」
「東よ」
エリア5世と莉緒の他にもう一つの声がした
莉緒にとっては聞いたことある声だった
「え?」
「私です。リヴァです」
いつも頭の中に流れる声のイメージ通り
清楚な、かわいらしい女性だった
「か、かわいい…」
莉緒は思わず心の声が出てしまった
本当にかわいかったから