ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ペンは剣よりも強し ( No.3 )
- 日時: 2011/12/24 20:19
- 名前: 清村 (ID: vgnz77PS)
沃哉も私と同じ、もう一人の自分がいるのかしら…
だって、独り言にしては、話しかけてる相手が、すぐそこにいるようだから
私にはそのアイテは見えないけど
「莉緒、下ってて」
「う、うん…」
また、守られてる…
—
『ぐわっ!!』
『!?』
『沃哉アウト〜、【家来】が【王様】をかばうのルールに違反してるぞ!!ルールは守れ』
『守りたいものを守っちゃいけないのか!!』
『莉緒がトロイから、沃哉君が捕まったじゃないの』
『やっぱり莉緒が王様になると負けるよな…』
—
そう言って何時も【暗殺する者】から私を守ってたよね…
私が王様役になると、私はトロイから、回り全然見れなくて
「私も…戦いたい。ねぇ…」
莉緒の左手が碧色に光り出した
「リヴァ」
莉緒の左手に筆が現れた
「!!」
『沃哉、集中してください!人間型は巨人型より素早いです』
「わかってる!!」
人間型剣奴は軽やかなフットワークで沃哉を翻弄する
『沃哉、印を書くのです』
「い、印って、どう書くんだよ!!」
『それは沃哉次第です』
「無責任な…」
沃哉は見よう見まねで地面に何か、印のようなものを書いた
しかし何も起こらない
「くそっ!次こそは」
再び地面に筆を向け、印か何かを書きだす
しかし、剣奴はその隙を狙い、沃哉に向かって走ってくる
「ヲォォォォォ!!」
剣を振りかざす
その剣にはこの上ない殺気がこもっている
「守護の印【風塊】!!」
沃哉の周りを目に見えるほどの風がまといだした
「なんだ!?」
「沃哉!!」
「莉、莉緒!?…がやったのか?」
剣奴と2人を隔離するように風のカーテンの向こう側で
莉緒は沃哉の肩を叩く
「私も、もう守られるのは飽きたの、今度は、私が沃哉を守るの」
「ありがとう…そのまま続けてくれ」
風のカーテンを壊さんとばかりに
猛攻撃を重ねる人間型剣奴
そのすきに、沃哉は印を書く
「ヨーク、教えてくれ」
『守りたいという気持ちが、沃哉にこたえてくれます』
「わかった…」
ヨークって言うのね…もう一人の沃哉は
『莉緒…』
「え?」
『やっと繋がった』
「あなたが…?」
『私はリヴァ、あなたの化身』
「よろしく、力を貸して」
『分かった』
風のカーテンはどんどん密度を増していき
一つの壁となった
—
『さっきはごめん…沃哉、私のせいでアウトになっちゃって』
『いいんだよ、守りたかったんだ、ただ、暗殺する者が許せなかっただけだよ、あいつら、卑怯なんだ』
『あ、ありがとう…』
『家来は王様を守るのが役目だからな』
—
王様であれ、なんであれ、俺は莉緒を守らなきゃって思ったんだ
好きだから、だとか、失いたくない、だとか、そんなことよりも
ただ、守りたい、守らないとって思ったんだ
「沃哉!まだ!?」
ヨーク、力を貸してくれ!!
お願いだ…
『下級印だけですよ…』
沃哉は何かを悟ったかのように
目をまっすぐ、前に向けた
「守護の印【止水】!!」
風のカーテン、壁を攻撃することに気をとらわれている
人間型剣人の足元に、深蒼色の印が現れた