ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ペンは剣よりも強し ( No.8 )
- 日時: 2012/01/02 00:46
- 名前: 清村 (ID: vgnz77PS)
授業中だった
『別に声に出さなくていいのですよ、心に想うだけでいいのです』
「はぁ!?なんでそれを早く言わないんだよ」
と、心の中で沃哉は想った
『あ、いや、すいません』
「あ、通じた」
『でも大丈夫です、心で想った事全てが自分に聞こえるわけではないので、プライバシーは守る義務でして』
「分かってるよ。で、さっき途尋のこと気になってたみたいだけど、どうしたんだ?」
『彼はもしかすると筆人です』
「え?」
授業中だったが、声が出てしまった
「どうしました、墨川君」
「いや、なんでもないです…」
莉緒だけが笑っていた
—
いつものように学校は終わり、沃哉は莉緒と下校しようとした
今日はなるべく大通りを行くことにした
それぐらいの学習能力はある
しかしやはりそうはいかない
「ちょ、ちょっと待って!!」
「霜辻君…」
途尋だった
「な、俺も一緒に帰っていいか?」
「途尋はあっちだろ、いいのか、バス遅れるぞ」
「いいんだ、ちょっと、話したいことがあるんだ」
沃哉は嫌な予感がした
俺、実は筆人なんだ、とか、昨夜剣を持った怪物に襲われたんだ、とか言ってくるかもしれない、そう思った
でも、良い意味で裏切ってほしかった
「なんで急に一緒に帰ろうなんて言い出したんだよ」
「だからな、その、話したいことが」
途尋は少し後ろめたい感じで、
自分から話したいと言いながら、
もじもじしている
「あのな、もしかしたら、沃哉に南月、最近周りで変なこと起きてないか」
あまりにもストレートしすぎた
その、何一つ遠回りしない質問は、あまりにも唐突過ぎた
「え、え?」
『やはり、彼は気付いてますね』
「(そうみたいだな、でももう少し様子見る)何言ってんだよ」
「霜辻君疲れてるんじゃない?」
「信じてくれよ!」
ズズズズズズズ
沃哉は頭を抱えた
この音はもしかして、
本当になんて悪いタイミングなんだ、と
その場を収拾するが如く剣奴が3体現れた
「あいつだろ?あいつあの剣もったやつ、こいつが教えてくれたんだよ」
「どいつだよ」
途尋の右手が淡蒼色に光り出した
『あの色は【五代元素】の光じゃないですね』
「五大元素?」
『その説明は後でします。彼はやはりタダものじゃないですね』
「…」
「リヴァ、私たちも!」
『うん!』
沃哉の右手が深蒼色に
莉緒の左手が緑色に光り出した
「やっぱりお前らも筆人だったんだな!!」
「まぁまぁ怒るなよ途尋、今は」
「目の前の敵を倒すのみだね」
3人は筆を構えた
『巨人型1体、人間型2体ですね。力を分散させるのは危険かと』
「わかった」
人間型2体が剣を振り回しながらまず走ってきた
「途尋、ここは1体1体を3人で倒す…」
「守護の印【氷塊】!!」
「え?」
人間型2体が凍りの塊に氷漬けにされた
身動きが取れない状態の人間型剣奴はオブジェの様だ
途尋はそのオブジェに向かって歩き出した
「俺はどっちかって言うと、『攻撃は最大の防御』派だから」
「お前、すげーな…」
『彼はやはり【非五代元素】の持ち主ですね』
「なんだそれ?」
『それもいずれ説明します』
巨人型剣奴が剣を振り下ろした
地面に刃がめり込み、衝撃波が途尋を襲う
途尋は避けたが
その衝撃波は、氷漬けにされたオブジェ諸共破壊した
「守護の印【氷塊】!!」
途尋はまたもや印を書く
巨人型剣人の右足が凍る
途尋はその右足に向かって筆を投げる
途尋の筆は先がとても鋭利になっていて
万年筆の様になっている
「いけぇ!」
巨人型の右足が粉々に砕けた
「な、何がおこってるの…」
『莉緒、今日は戦わなくて大丈夫の様ね』
「や、一応いつでも回復印書けるように待機しておく!」
『えらいわね』
こんなんが筆人のやり方なのだろうか
今でも自分が筆人だって、そんな自覚は持ちたくないが
筆人は誰かを守る者じゃないのか?
あんな戦い方はまるで、剣人じゃないのか?
途尋は剣人と同じじゃないのか?
「守護の印【止水】!」