ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 選択。 ( No.2 )
日時: 2011/12/21 19:13
名前: 赤信号 (ID: nxCracO9)

「 2択 」

人間、まず生まれるか生まれないかの2択だ。
そして、次は男か女か。
生まれたら、その家庭が裕福かそうでないか。

成長するにつれて、容姿が良いか良くないか。
勉強できるかできないか。

出世できるかできないか、等、人生全て2択の人生だ。

今までそう考えて生きてきた。
もちろん、昔は適当に笑ってだらだら過ごせればいい、とかも考えていた。
でも、それは間違いだ。

人生2択なら、頑張って努力して毎回良い方を獲得したい。
それが一番良い人生の歩み方だと、思っているからだ。

小学校の始業式。始めの自己紹介で友達ができるかできないか決まる。
6歳程度だった自分は、どうすれば皆に興味を持ってもらえるか考えた。
そして、思い至った策。

『初めまして、北川 真琴です。
 幼稚園の時の友達は皆違う小学校に行ったので、友達がいません。
 良ければ、皆僕と友達になってください。』

これが小学一年生の真琴の考えであった。
皆、確かに違う小学校に行ってしまった。いや、自分が違う小学校に来た。
でも、これは今となれば意味の分からない自己紹介だ。

効果はかなりあった。皆自分に話しかけてきてくれた。
一日で、クラスのほとんどの人と仲良くなれた。これで、2択の良い方へ進むことができた。

中学校の頃、これは大体小学校の繰り上がりだ。
1〜6年までで学年のほとんどと仲良くなっていた真琴に友達が飢えることはなかった。

そして、この高校に入るまでにかなりの人望を集めていた真琴は、皆ついてくるだろうか、とそわそわしながら入学した。
しかし、個人個人にも夢がある。真琴の今までの信頼関係が嘘のように崩れ落ちた。

今現在、高校1年の真琴には少し大きすぎる誤算だった。
こんなことを小さい頃から積み重ねて考えてきた真琴も真琴だが、1人くらい来てくれても良かったのではないか、とも思う。
しかし、今更ってものだ。

4月、入学式も終わり、今から自分の教室に入る。
心臓はバクバクだ。飛び出して地球一周する程跳ねあがっている。

いじめられませんように・・・。

これだけを願い、真琴は教室の扉を開けた。

中学の時は公立だったので、真琴の周りはケバケバしい女子ばかりだった。
しかし、ここはやはり私立だ。「類は友を呼ぶ」で、スカート丈の長い黒い髪の女子ばかりだった。
真琴は安堵した。これなら女子からはいじめられることはないだろう。

問題は男子だが。
見まわしても、まだ仲のよいグループ等はできていない。
皆、椅子に座って静かに先生を待っている。
真琴も、皆と同じように出席番号順に並んでいる自分の机の場所を確認し、静かに腰を下ろした。