ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 選択。 ( No.7 )
日時: 2011/12/30 15:58
名前: 赤信号 (ID: nxCracO9)

次の日、真琴が学校に着き、教室に入る。
すると、昨日は静かだった教室が賑わっていた。

皆、グループが少しだけできていて、女子はもうほとんど決まってきている。
真琴は自分の席に着いて、鞄を机の上に置く。そして、「友達になりたい人物」の元へ向かった。
名札で名前を確認して、一言。

「あの、大野君。」

「・・・?えっと、『キタガワ』くん・・・?」

「あ、俺『キタカワ』って言うんだ。」

「あっ、ご、ごめんな間違えて。」

大野は大袈裟に謝る。
彼は挨拶の時、クラスの誰よりも大きく、透き通る声だった。
それに、笑顔が可愛らしい。

加藤の笑顔とは、また違う感じだ。

「いや、いいよ。それよりさ、結構皆仲良くなってってるじゃん?
俺、自己紹介の時から大野と仲良くなりたいな、って思ってて。
友達になってくれないかな?」

真琴が申し出をすると、大野の目が輝いた。

「もちろん良いよ!俺も北川みたいに良い奴そうなのと友達になりたいなって思った(笑)」

えへへ、と大野が微笑んだ。
真琴はその顔をみて安心する。良かった。

彼も多分、この高校には1人で受けたのだろう。
2択でも、多分1択しか限られていなかった感じだ。

「ねー、北川君。」

後ろから声をかけられる。
誰だ、と思い振り返ると、相田がいた。

「あ、相田君だよね?」

「憶えててくれた感じ?嬉しいなぁ・・・。
そっちにいるのは大野君だよね?」

「そうだけど、よく憶えてるな。」

「記憶力だけは良いからね。
いきなりで悪いんだけど、友達になってくれない?
俺、友達いないからさー。」

これはラッキーだ。
自分から申し出てくれるなんて。

「俺も全然友達いないし。」

「あ、俺も友達いないから・・・。」

相田はガッツポーズをする。

「よしっ!じゃあ北川と大野は俺の友達!」

見た目と性格がピッタリ合っている相田は、一緒にいるだけで楽しそうだ。

しかし、ここで「彼」が来た。

「おはよう真琴ー。」

加藤は真琴に思い切り抱きつく。
真琴は全身に鳥肌が立った。

「君、加藤君だよね?
もう、2人共友達になってたんだー。」

相田は笑っている。大野も笑っている。

真琴は勿論楽しくない。

「離せっての!」

加藤の手を思い切り跳ねのける。
彼はこういう性格じゃなけりゃいいのに、と溜息をついた。

「何溜息ついてんだよっ」

加藤は真琴の肩に手を置いた。

本当に、彼と友達にならなければよかった、と後悔しても遅かった。
そこでチャイムが鳴り、皆席に着く。

でも、真琴の前の席が加藤なので、約20分間、地獄は延長されたのだった。