ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 追憶のエリオル ( No.6 )
- 日時: 2011/12/27 10:01
- 名前: 藍月 ◆e67wD8MYCo (ID: YrQV5zvB)
3.お仕事騒動
「充、疾風、まだ寝てるんじゃ無かろうね。さっさと起きるんだ。仕事は山ほどあるんだからね」
初日から呼び捨てかよ。俺は一応客人として扱われてもいいはずなんだが。
「起きてるのか、寝てるのか、返事しないと朝食抜きだよ!」
「わわ、起きてますって!」
扉の外でわめく静婆さんに急いで返事する。
ってか寝てたら返事できねーだろ。
「グゴゴゴゴゴオォ・・・・・・」
隣で大いびきをかいているのは先輩。
「朝ですよ」
「グゴー」
「起きてください」
「グゴー」
「静婆さんの百烈拳でも浴びたいんですか」
「嫌だアア!!」
みだれた布団から先輩が飛び起きた。
「あれ、ここは・・・?はて、俺は今お前の作ったケーキを食う夢を見て、そしたら急に婆ちゃんの顔が」
「とにかく、行きますよ」
「い、痛ぇよ」
早く行かないと朝食が・・・・・・。
「おや、遅かったねえ。わたしゃ食べおわっちまったよ。自分たちの分は自分たちで片付けるんだよ。後、梨江ちゃんの分もね」
どんだけ早食いなんだ。あの婆さんは。そう考えてる間にどっかに行ってしまった。
「あの・・・おはようございます」
「おはよう、梨江ちゃん」
「『梨江ちゃん』は恥ずかしいです。梨江にしてください」
「えっと、おはよう、梨江。・・・・・・これでいい?」
「はい」
頬を赤らめて言った。やっぱ女子って分からない。
「いただきます」
くっ、こ、これは・・・
「辛いぞおォオオ!」
はっ。意識がとんでいた。
「・・・はあ、またかよ」
「きっと私のせいだよ。ひっく・・・・・・あれ?」
「おうシップウ、気がついたか。早いとこ、梨江の料理に慣れなきゃ生活していけないぞ」
さっきの朝食は、梨江と静婆さんが作ったのか。
「でも、30分で回復したんです。成果が見えましたよ!」
「・・・梨江って料理に何入れてるの?」
「えっと、唐辛子と胡椒と特製スパイスと・・・・・・」
「あ、も、もういいよ」
将来の旦那は苦労しそうだな。
「やっと目が覚めたのかい?料理食べて気絶するなんて失礼にも程があるよ。皿はもう片付けちまったからね」
「あの、俺まだ一口しか・・・」
「ぶつくさ言ってるんだったら明日の朝食も」
「大丈夫です!!!」
「あ、そうかい。じゃ、今から畑に行って、サトウキビを収穫してきてくれ。」
「サトウキビ?」
「まさかあんた知らないのかい!?」
「・・・・・・」
「そういうのをいちいち説明しているほど暇じゃないんだよ。充に教えてもらいな」
「え、じゃあ、俺も一緒に行っていいの?」
「今回だけだよ。本当はもっと他のことをしてほしいんだけどねえ」
「よっしゃあ!」
俺たちは作業着に着替えて畑に向かった。
「本当にお前、サトウキビ知らねえのかよ」
「知らなくて悪かったですね」
「お前、田舎に住んでてサトウキビ知らないのはおかしいだろ」
「先輩と違って山梨に最近越してきたばかりですから」
そう。俺は山梨にずっと住んでたワケじゃない。
>>7
