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Re: 吸血鬼と暁月 ( No.3 )
日時: 2012/01/12 13:05
名前: 枝垂桜 (ID: so77plvG)

 そのあと、あまりに天気が良く気持ちが良かったため、うっかり夕刻に外で寝てしまった。

 次に目を覚ますと、朱音は布団の中にいた。
 扉の隙間からは、明かりがうっすら見えた。
 
 朱音が扉を開けると、沙雨が半兵衛とお酒を飲んでいた。

「半兵衛殿、いらっしゃいませ」
「ああ、朱音ちゃん。お邪魔してます」
「お帰りなさいませ。沙雨」
「ただいま。朱音」
「沙雨。結婚はまだなのか?」

 半兵衛が沙雨にそう聞くと、沙雨は微かに耳が赤くなった。
 朱音は慌てて、頭を下げ、部屋を出た。

 朱音のいない部屋で、沙雨は声を潜めた。

「な、半兵衛殿・・・・。からかうのはおやめください」
「しかし、結婚もそう遠くないだろう」
「・・・・・分かりません」
「沙雨・・・・・」
「私にも・・・・・、そろそろ"キ"てしまう」
「・・・・・そうか・・・」
「もう僕は長くない。・・・・いつ"目覚めて"、朱音を襲うか分からないんだ」

 そういうと沙雨は目を伏せた。
 
 半兵衛はまた一口、酒を飲んだ。


「朱音ちゃんは、"目覚めた"お前を認めくれるのか?そして・・・・、自身の真実も」

「分からない。元々彼女は僕が──にしたから・・・。その真実を知ったら朱音はどうなってしまうのだろうか」

「その後のことは考えなくていい。お前は今のことを考えろ。いいな」

「分かっているよ。半兵衛」