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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 吸血鬼と暁月 ( No.4 )
- 日時: 2012/01/12 13:24
- 名前: 枝垂桜 (ID: so77plvG)
朱音は知らない場所にいた。
火事でもあったのだろうか。この村全体が焼けていて、人々に生気がなく、まるで生きていて死んでいるような存在ばかりだった。
朱音はその中で、ある男を見つけた。
その男は他の人とは違い、一人の女の人を大切そうに抱きしめていた。
「・・・・・・・・ぁ・・・」
その男の近くによる。
「あの・・・・」
肩をつんつんと突こうとしたが、すうっ、と通り抜けた。
「え・・・?」
何回も試したが、男に触れることはなかった。
男はしばらくすると、ぼそぼそと喋りだした。
「・・・・・君を失ってしまうなら・・・・。いっそこの手で・・・」
男は腰刀を取り出して女に向けたが結局振り下ろされることはなかった。
「この声・・・・沙雨?」
その男の声は、沙雨にとても似ていた。
「・・・せめて、君を失わないように・・・。ごめんね、少しだけでいい。僕に君の運命を決めさせてくれ・・・」
すると、男は女の首にするどい牙を埋めた。
「!!!ッッッ」
朱音は驚き言葉を失った。
「・・・・っ!」
女は目を覚ました。
「な・・・・っ、!・・・、痛っ・・・、、サ・・・、、ウ・・・、、」
そういうと女はまた眠ってしまった。
「・・・・"サウ"・・・・?」
朱音の大事な人の名前だった。
「ごめん・・・・・。・・・・・アカネ・・・」
「・・・・・・ッッッッ!!!」
朱音は目を覚ました。
沙雨はいつものように、隣の布団で眠っている。
これは夢だ。現実ではない。
そう自分に言い聞かせた。
それでも、あんなにはっきりとした夢。現実にあったことなのか?
(・・・・あの鋭い牙・・・・。・・・・化け物?)
朱音は身震いし、また眠りの中に入っていった。
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