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Re: 吸血鬼と暁月【楽園の華 オリキャラ募集中】 ( No.116 )
日時: 2012/12/13 22:00
名前: 枝垂桜 (ID: a4Z8mItP)




 この巨体な屋敷のすべてを掃除し終えた時には、もう真っ暗になっていた。否、一つだけ開かない、一呼んで〝開かずの部屋〟と言うものがあったのだが、それ以外は完璧に掃除し終えた。




 さすがに疲れた朱璃は綺麗になったばかりの床に寝そべる。むしろ奇跡とも言えるのだろう。半日でこの屋敷を掃除し終えたのだ。





 イヴは「汚いのやだー」と言って、手伝う気はさらさらなかったようだ。一応ではあるが、イヴの躰は持ってきた。しかしそれを使うのはまだまだ先になりそうだ。



            +      +      +


 掃除している時、朱音が朱璃に書いた手紙を見つけた。

 羽ペンで書かれたのだろうその日本語は、薄い線の上に綺麗に並んでいた。


 合計で四通。


 その手紙はいたるところで見つかった。



 他の物はすべて埃をかぶっていると言うのに、その手紙だけは、元は茶葉が入っていた缶に入れられ、大事にしまわれていた。




 それらはすべて朱璃が回収し、今テーブルの上に並べておいてある。




『読まないの?』

「……手がかりになると思う?」

『さあ、どうかしらね。貴方の目的は確かに朱音ちゃんを見つけることだけれども、その真実が美しいとは限らないわ。汚れてすり切れて、血で濡れているのかもしれないわね』





 朱璃は溜息を吐いた。契約したての頃こそは、慣れなくていちいち本気に相手にしていたが、時がたつにつれてからかっているだけだと気付いた。


 今もきっとそうだ。細く微笑んで、朱璃を見ている。



「別に、真実がどうだろうと、僕の目的はあくまで母さんを見つけることだ」

『あら、そう。つまらないのね。でもそんな所も含めて、私と契約した朱璃よ』

「………」



 満足そうに微笑んでいるイヴと目が合う。それを見て少し不快になった。


 朱璃は立ち上がると、四通のうち、一通を手にした。


 そして封を小さいナイフで切る。


 中から現れたのは、二枚の便せんと洒落た鍵だった。

 掃除している時に、鍵束を見つけたがそれらの鍵とは作りが違う。


 デザインも、形もこっている。複雑すぎて、これに似た鍵はその世には二つとないと思えるほどだ。



『〝開かずの部屋〟の鍵───かしらね』

「そうかも。あとで行って開けてみるよ」

『分かったわ』



 鍵を置いて、便せんを手にとった。

 封筒を良く見ると、漢字で『一』と示されている。


『どうやら手紙には順番があるみたいね。これは一だがら、一番最初』


 朱音は一体何を思って、この手紙を残したのだろうか。




            +      +      +


『朱璃へ


 朱璃がこの手紙を読んでいると言う事は、やっぱり朱璃もここに住むことにしたんだね。こうなるかもって思って、私や沙雨の元を離れても寂しくないように、私たちの事を思い出せるように手紙を残したました。


 まずは掃除お疲れ様。大変だったでしょ? 私たちはもうそこには住まないって、決めたから大分掃除してなかったんだ。ごめんね。


 それじゃあ、本題。

 中に入っている変な形の鍵。これは貴方のお父さん、沙雨の部屋の物です。

 沙雨の部屋は鍵を掛けたから、これがないと開かないよ。使ってみてね。


 沙雨の部屋は不思議な力のおかげで、再び扉を開けるまで時間が止まっているから、掃除の必要はないよ。



 本当は屋敷全体にこれを掛けたかったんだけど、ちょっと余裕がなかったみたいです。



 沙雨の部屋は一件何もないけど、本棚とかいじってみると面白いかも。何か勉強になるかもしれないね。



 じゃあ、二通目も気が向いたら読んでね。


               朱音』



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「手がかりなし……か」


『何言っているの? あったじゃない。大きい手掛かりが』


「どこに?」


『私や沙雨の元を離れても寂しくないように、私たちの事を思い出せるように手紙を残したました、って所。ここで、朱音ちゃんは意図的にって言うか、自分から姿を消したわけではないって事が、証明されたでしょう?』


「そっか……。じゃあ、やっぱり」


『ナイトメアの〝神隠し〟かしらね、やっぱり』




 イヴは楽しそうに告げて、笑った。












皆さま、こんばんは、そしてお久しぶりです!

今日中間テストが終わりました! テストの為に、PCを封印していました。更新遅れてすみません。



不思議な国のなんとかさん、オリキャラありがとうございます! 
返事遅れてすみませんでした! 採用させて頂きます!