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Re: 吸血鬼と暁月【楽園の華 オリキャラ募集中】 ( No.117 )
日時: 2012/12/18 23:10
名前: 枝垂桜 (ID: a4Z8mItP)




「なんでそう思うの?」


 朱璃はイヴに真っすぐな青の瞳を向ける。イヴはその瞳を捉え、不敵な笑みを更に深める。



『勘よ。同じ悪魔としての〝勘〟』


「そう」


 「嘘臭い」という言葉を飲み込んで、代わりにその二文字だけ吐き出す。きっと裏になるのだろうけれど、今は聞きだす気にもなれなかった。



『二通目は読むの?』

「もちろん」


 そう言って朱璃は二通目の封を切った。



            +      +      +



 その手紙もやはり母の愛を感じる事が出来る挨拶から始まり、他愛のない内容だったが、心がフッと優しくなる様な、柔らかい文章だった。


 優しげな大人しさを反映している手紙の中の母は、どこかに孤独さを垣間見せ、殺伐としている父とは対象的だった。




 そうして、二通目……三通目……と読んでいったが、どこも気になる所はない手紙の内容だった。しかし四通目は、何もかもが不自然だった。



 なぜか一度開けられた跡があり、中には便せんすら入っていなかったのだ。




「これは……」

『───先越されたわね。朱璃』

「………」



 朱璃が目を細める。

 そんなの一体誰が。

 ここは人間には見えない。だから人間じゃない。だが、手がかりがなさ過ぎて、これ以上は無理に絞れない。



『次の手掛かりは、沙雨の部屋にありそうね』

「ついてきてくれる?」

『もちろんよ』



 朱璃は鍵を持って立ち上がった。










 一旦切ります。