ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 吸血鬼と暁月【200越え感謝!!】【オリキャラ募集中!】 ( No.25 )
- 日時: 2012/07/27 07:55
- 名前: 枝垂桜 (ID: gZQUfduA)
「絶対にこの面を手放してはいけませんよ。手放した時は、貴方様の最期だと御心得下さい」
マーチはそれだけの念を押して、朱音の顔に面をかぶせた。
「それでは、私につかまって。沙雨殿はもう先に行っています。参りましょう。───『禁じられた扉を開き 禁じられた薔薇の園へ』」
マーチがそう言いながら、己の鎌で己の腕を切り裂いた。血が滴り落ちて、その場所から薔薇の模様の魔法陣が浮かび上がった。
朱音たちの体がふわりと浮き、次の瞬間、その場所から姿を消した。
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次に目を開けた頃には、そこは知らない場所だった。
赤を主とした、色とりどりの薔薇が視界一面に咲き乱れ、風で花弁が巻きあがり、とても美しい景色を生み出していた。
そして、何もなかった目の前に、ぼうっ、と大きい屋敷が浮かび上がる。
マーチはその扉に向かって、三通の招待状をかざすと、その手紙が消え、大きい扉がゆっくり音を立てて開いた。
「行きますよ」
三人は歩き出す。
中に入ると同時に扉が閉まった。
その音に朱音は肩を震わす。
「だいじょーぶだよ朱音。怖くないよ」
「はい……」
朱音もそういって頷いたものの、恐怖を断ち切ることはできなかった。
お面から見える外の世界は、不思議なものだった。
日本人らしき人もいるのだが、ほとんどが外国人と思われる人々で、中には体が半透明で、時折ふっ、と消えてはまた現れる人もいた。
「………ッ」
朱音は掴んでいたマーチのドレスを握りしめる。
「──────朱音」
久しぶりに聞く、聞き慣れた声が朱音の耳に滑り込んできた。
「沙雨……」
「なんだか久しい気がするよ。マーチ、時雨、朱音を借りるよ。今から王にあいさつへ行ってくる」
「御意」
「えー、私も付いて行っちゃだめ?」
「駄目だよ。 さあ、朱音───こっちへおいで」
一旦切ります