ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 吸血鬼と暁月【200越え感謝!!】【オリキャラ募集中!】 ( No.30 )
- 日時: 2012/08/01 16:22
- 名前: 枝垂桜 (ID: gZQUfduA)
その扉の前まで行き、ノックすると、中から澄んだ声が返ってきた。
「誰?」
「失礼します。 紗雨と朱音です」
それだけ言うと中から、走っている音が聞こえ出して、次の瞬間勢い良く扉が開いた。
「やあ! 紗雨! 朱音! 久しぶり!」
中から美青年が飛び出してきて、朱音に抱きついた。
朱音は驚きから、身体が固まってしまった。
「ファウスト王、お戯れを。朱音は───」
「ああ、いい。もちろん知っているよ。じゃあ、朱音は初めましてだね。 幽霊界の王、ファウスト・ブラッドです。年は忘れた。 特技はテーブルクロス。 趣味はガーデニング。 好きなものは、可愛い女の子です! タイプの子は朱音! よろしくっ」
「王……」
紗雨はじと目でファウストを見る。ふざけているのか本気だったのか分からないまま「はいはい」と返事をしながら朱音から離れた。
「そんなに怒らないでよ。全く、紗雨は相も変わらず血の気が多いね」
「誰が僕をこんなのにさせたんですか」
「やだなー。あー、怖い怖ーい」
紗雨をからかいながらファウストは楽しそうに高笑いをする。
当の紗雨も、頭を抱えているようだ。
「それで、なんで今回は突然来たのー? 絶対来ないと思っていたのにー。ちょっと嬉しい」
「貴方が招待状をしつこく、何度も出してくるので、一度は来ようかと」
「口が悪いなー。だって寂しいじゃん。警護の人はかしこまっちゃって、なーんも話してくれないからまんないしー。 女の人は、別の男とイチャイチャしてるしー」
「すみません。僕も朱音と一緒なのですが」
「えー、だってラブラブじゃないしー。なんかいつでも奪えそう」
「嫌がらせも対外にしてくださいね」
「あー、そーだ。ここは手っ取り早く朱音に聞こうか。 ねー朱音ー。紗雨と俺、どっちを選ぶ?」
「へっ? え、な、なんで……ですか?」
なんという究極の選択だろうか。
「あ、答え辛い? じゃー質問かえるねー。 無人島に行くなら、俺と紗雨、どっち連れて行くー?」
「それは、紗雨です」
「ガーン!」
「効果音まで自分で言うのはお止めください」
ほぼ即答だった朱音の言葉にファウストは、少し小さくなり、逆に紗雨は少し大きくなったように見えた。
「選考基準は……?」
小さくファウストが朱音に聞くと、
「ファウスト様は、王様なのですよね? ならば、国を離れてはけないかな、と。 私がファウスト様を連れて行ったら、国に沢山の迷惑が掛かると思いまして」
「あ、なーるほど。 紗雨の方が好きだから、紗雨ってわけじゃない訳ね」
「? はい」
「────……」
二人が同じ大きさに戻ったのは、このときだった。