ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 吸血鬼と暁月【第二次オリキャラ募集中!】 ( No.43 )
- 日時: 2012/08/10 20:14
- 名前: 枝垂桜 (ID: gZQUfduA)
第8章 旅立つ沙雨 捕まる朱音
「気をつけてね、沙雨」
「ああ。朱音も」
「朱音さんの事は僕と寧々さんが守ります。心配は無用です」
朱音は日本に残ってほしいと言ったところ、かなりの反抗をした朱音であったが、長い戦いの末、認めてくれた。
沙雨と同行するのは、時雨、マーチ。残るのは寧々と天狐と言う完全武闘派の二人だ。
「じゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
「何回目だい? 心配しなくても、ちゃんと帰ってくるよ。───?」
沙雨は目の前に立つ少女を見た。ゴシックワンピースに身を包んだ、紅蓮と黒の少女だった。
「君は? こんな所に何の用だい?」
「私は涙樹 アネッサ。私は未来と過去を視、未来を変える者。そしてただ一つの正義を貫く者」
アネッサと名乗った無愛想な少女に、沙雨は聞き返す。
「何が言いたいんだい?」
「私は貴方方に真実を伝えに来たの」
「真実?」
「言ったでしょう? 私は未来が視えるの。───言っておくわ。貴方方はこのまま同じ道を歩き続けると、辿り着く場所は『破滅』よ」
その言葉を聞いたマーチが微かにその笑顔を動かした。しかしそれは、10人中9人が気付かないほどの微かな変化だった。
これに気付いたのは、沙雨と天狐だけだった。
しかし寧々も何か違和感を覚えていたが、それが何だかはわからなかった。
「───ご忠告、誠にありがとうございます。しかしそれを貴方に言われる筋合いは全くありません」
「……愚かだわ」
「そうかもしれませんね」
「私は貴方と話すことなんて一つもないの。 用があるのは、沙雨さんと朱音さんだけ」
どこまでも貶してくるアネッサに、マーチはまだ笑顔である。
「そこをどいて頂戴」
「あ、はい。……とでも言うと思いましたか? 私に命令をしないでくださりませんか、手元が狂ってしまいます」
「それくらいで狂うなんて、無能ね」
「馬鹿じゃないのッ!」
二人の中に時雨が割り込む。
マーチが馬頭されている所を見ていらついたのであろう。
「自分の思い通りにならないとそうやって人の事馬鹿にするなんて……子供! 子供子供子供!」
「子供扱いはしないでもらいたいわね、あなたも子供じゃない。中身が」
「なッッ! これでも朱音と同じ年ですけど!」
「だから中身が、って言ったじゃない」
まるで耳を垂らして尻尾を巻いて、ぷるぷるする時雨。
次の瞬間、アネッサの首元に刃が当てられた。
「お下がり、マーチ、時雨。 君たちが出る幕ではないよ」
そう言うと、二人は何歩か後ろに下がった。
「何の真似かしら」
「僕を馬鹿にするのは良いが、この子たちを馬鹿にするのは許さないよ」
「……私はやっぱり、吸血鬼も死神も、人間以外は苦手だわ」
アネッサは目を伏せた。それを見た沙雨が、全長二メートルもある太刀を下ろした。
「別に貴方方が認めないなら、それでいいわ。私は困らないから。───せいぜい足掻くことね。醜く、無様に、ね」
アネッサは最後にそういうと、去って行った。
「なんだったんですかね」
「マーチが相手に敵対心燃やすなんて珍しい事もあるものだね」
「自分の主を馬鹿にされて、黙っていられませんよ」
「……嬉しいよ。君にも忠誠心はあるんだね」
「沙雨……」
振り返るとそこに不安そうな顔をして立っている朱音がいた。
その朱音の頭を撫でると、微笑んだ。
「心配しなくていいよ。今度こそ行ってくるよ」
「うん。行ってらっしゃい」
沙雨はマーチたちを連れて、歩き出す。しばらくすると、その背中も見えなくなってしまった。
────────────────────────────
送れてしまいましたが、マーチェリー 様、応募ありがとうございます!
二度目の応募嬉しいです。
使わせていただきます。
これからもどうぞよろしくお願いします。