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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 吸血鬼と暁月【第二次オリキャラ募集中!】【参照400突破】 ( No.70 )
- 日時: 2012/09/01 01:18
- 名前: 枝垂桜 (ID: tDpHMXZT)
間章 其之一
「───血ダ」
「血ダ」
「───血ダ。死神ノ血ダ」
「死神ノ血ガ流レタ」
窓の向こうから獣のものに似た低い咆哮を聞こえてきた。
真っ赤な半月が夜空高くに浮かび上がり、夜を飾っている。時として吹く風に合わせて、木がざわめきを立てる。
獣──否、魔族の中でも極めて穢れた血をその体内に流す魔族の咆哮は永遠と続いた。
時として咆哮と方向の間から微かに聞こえてくる魔族たちの声は、その不吉さを表わしていた。
死神の血。死神はあくまでも「神」なのだ。その「神」の血が流れたとなると、魔族にとっては不吉な出来事でもある。しかしその血の匂いに欲求を膨らます者もいる。今奉公している的族どもは、その中の一人だ。
一人の美しい悪魔──皐月は、アンティークでありながら、洒落た模様が施された窓のガラスに、そっと手を添えた。
うっすらとピンク色に染められた唇が、不意に笑う。
「死神の血を流したのは誰? 沙雨。貴方?」
「皐月」
その声と共に皐月の目の前を黒い布が横切って、部屋の中を外から完全に隠してしまった。
皐月は久遠に視線を向ける。
「どうしたの?」
「あの穢れた魔族たちの声など聞いてはいけない。耳を塞いだ方が良い。見るのはもっと駄目」
心配の気持ちを込めた視線で皐月を見つめ返した。
一旦切ります。
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