ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 吸血鬼と暁月【オリキャラ 執事&メイド募集中】 ( No.78 )
- 日時: 2012/09/14 20:27
- 名前: 枝垂桜 (ID: tDpHMXZT)
気持ちのいい笑顔をこちらに向けるロア。きっとかなりお人よしなのでは、と思い、同時に心配する。人を疑うと言う事を知らなそうだ。
「久しいですね、ロアさん。幾年ぶりでしょうか」
「そーだねー。えっと、二百年ぶり、かな」
マーチは十四歳だが、魔族は体の成長が恐ろしく遅い。死神は他の魔族の何倍もの生を得ている。
こんな幼い少年の体内に強い魔力が秘められているなんて、とてもではないが信じられない事だった。しかし実に指折りにし入る魔導書。
魔導書は回覧されてからこそ、その力を発揮するものだ。決めつけるのはまだ遅い。
脇に抱えられている黒い本。それはロアの隣では無駄に目立つ。光と闇の違い、と言っても過言ではないのだろう。
「それで、僕を呼びたしたって事は、扱えそうな人がいたの?」
「ええ。ロアさん、こちら、沙雨さんです。今の私の主でもあります」
マーチはロアに軽く沙雨を紹介した。ロアはさきほど自己紹介したので、何も言わず、沙雨をまじまじと見つめた後、にっこり笑って見せた。
「僕自身、この魔道書は扱えないんだ、誰かに使ってもらって、はじめて僕の力が増幅されるんだよ」
「ロアさんは魔導書の中でも特殊でしてね。心を持ち、言葉を話すのはとても珍しい魔導書です。異例、と言っても良いですが。
他の魔導書は特定の場所に収められており、魔法陣で呼び出す事はできません。ロアさんは力が強いが故に言葉を話し、心を持つのですよ」
「興味深いね」
「貴方が他のものに興味を持つなんて、珍しい事もあるものですね」
「僕にだって、心はあるよ」
「まあ。……ふふ」
楽しげにマーチが笑う。
ロアが人懐こい笑顔を浮かべながら尋ねてきた。
「僕を扱える? 僕を回覧したことがある人は、僕が創られてから、たったの七人だよ」
「───正直、自信はないかな。魔導書の施錠呪式だっていじった事がない。初めて触るよ」
触った事がないと言っている割には余裕があるように見える。
slica 様
ありがとうございます。コメント、とても嬉しく思います。本当に励まされます……っ(嬉涙
最近ペースが本当にノロイですが、これからもお付き合いいただければと思います。