PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ジェットブラック ( No.1 )
- 日時: 2012/01/07 19:29
- 名前: K-10 (ID: r6yRxP5o)
プロローグ
ズババババ!
耳を塞ぎたくなるような破裂音が荒野に響き渡る。
乾いた大地が辺りに転がる抜け殻から流れ出る液体で赤く潤った。
その中心に立つ黒い男。
その両手には拳銃が握られていた。
年にして20代半ばといったところか。
男は顔に張り付いた赤い液体を手で拭うと
アイスブルーの瞳を停めてあるトラックに向けた。
「ったく、あんまり気持ちのいいもんじゃねぇな」
赤い足跡を作りながら
トラックに歩み寄り、荷台に掛かる布を剥がした。
「よう、迎えにきたぜ」
人間が横たわっていた。
瞳は閉じられ、口にはバンダナ、手足には枷がはめられており、
体にはぼろ切れを纏っているのみだ。
まだ幼さを残した顔が酷くやつれていた。
短いアッシュブロンドの髪が病的なまでに青白い肌に栄えている。
「やれやれ。とんだ厄介事だな」
黒い短髪をガシガシと
掻き、軽いため息をつくと、薄暗い荷台に踏み入り、
人間を肩に担いで外に出た。
風が吹きわたる。
それは雲とともに、荒野に染み付いた鉄の匂いを遠くに運び、
新たな雲を運んできた。
小さな雫が空から落ちて、地面にシミを作る。
その量は次第に増え、雫というより粒くらいの大きさになった。
「雨か」
黒い男は泣き崩れた空を見上げた。
まるで雫が涙のように頬を滑り落ちる。
雨は荒野の戦いの跡を綺麗に拭い去り、すぐに去って行った。
PR