ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ¥緑白の雪崩¥ ( No.1 )
日時: 2012/01/26 19:06
名前: B判定 (ID: vgnz77PS)


#1:緑白の始り




「お前の命はお前の運で護れ。ロシアンルーレットだ。もちろんルールは俺だ、俺がルールだ。もう一度言うぞ、ルールは、オ・レ・ダ。」
「おいF、やりすぎ注意だぞ。」
「あぁ、分かってるさG、ははっ。今日は起源がいいから、お前に選ぶ権限をくれてやるよ。空の銃なら右、最初から1発入ってる銃なら左の脚をならせ。」

38口径マグナムのシリンダーに一つ、二つと、弾薬を詰める音とFとGと名乗る男たちの声が、死へのカウントアップの様に冷たいコンクリートの壁に響き渡り、その音はゆっくり、ゆっくりと壁に沁み入る。
猿ぐつわと目隠しをされた、おそらく人質であろう、両腕を椅子に縛られている。
見た目はまだ子供である。

ブチッ

謎の男は人質の椅子に縛られていたロープを切る。
目隠しを取り、緑白色の瞳がのぞいていた。
猿ぐつわを取る、そのスッとした口元はすこし笑っているようにも見える。
自由になった両手両足、しかし男の子は抵抗も、暴れたりもしなかった。
そうゆう状況では無かったからだ。

「準備はいいか?。」
「…はい。」

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「入れ」

人質の男の子は両手を縄で縛られ、背中を蹴られ、部屋に倒れこんだ。
しかし床はコンクリートではなく、絨毯だった。
少年の目の前には、いかにもボスっぽい男が、ペルシャ猫的な、でも何か違う動物を膝に乗せ、撫でながらソファに座っていた。

重そうな腰を持ち上げ、倒れこんだ少年に近寄り、膝を曲げ顔を寄せる。

「名前は?」

口を開いたと思ったら葉巻の煙がモワっと少年の顔の前に拡散する。
部屋に入って薄々気付いていたが、やはりその男はスモーカーだった。

「僕の名前は…メ」

バァン!!

部屋中に銃声が響き渡る。
少年の目の前の絨毯に穴が開き、細い煙が上がる。
突然のことで、少年も、後ろの部下も背筋が凍る。

「生きたきゃさ、名前は捨てろ、坊や。この世界はな、名前が命取りなんだよ。過去は捨てろ、でも大事にしろ。いつ過去が自分を守ってくれるかわからないからな」

ドスのきいた低い声が部屋に響き渡る。

「G、俺もあの言葉聞いたことあるぞ…」
「俺もだよF。ははっ」

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「まさか、あのロシアンルーレットを見破るとはな。リボルバー=6発という偏った考え方が、何人もの人間を殺してきたんだが、ここで連勝がストップしちまったな、F。」
「残念だよ、ははっ」
「実際は全部に弾薬が入ってるんだよな。弾薬を入れる音は5つ、凡人なら6分の1に賭ける神任せの哀れな人間だし、最初から一発入ってるやつに4つの音を聞かせると、それもまた6分の1に賭ける神任せな人間ってわけだな?」
「そうだよ、ははっ」

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