ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ¥緑白の雪崩¥ ( No.2 )
- 日時: 2012/01/15 19:34
- 名前: B判定 (ID: vgnz77PS)
「今日からお前はウチの組織で働いてもらう。」
「…そ、組織…ですか。」
Fと言う名の男がポケットから一枚のメモ用紙を取りだした。
そこには何処の国の言語だろうか、ぎっしりと文字が詰めて書いてあった。
「……」
少年は目を凝らしてそのメモを見つめる。
もちろん、何と書いてあるか、本人は分からない。
「そこにあるように、今日からお前は【ニンム】をやってもらう。いい、何も言うな、あとお前の名前は今日から……【エジ】だ。」
「…エ、ジ。ですか…。」
「いいか?そのメモをしっかりと読み砕け、そして、明日の朝、もう一回この場所に来い、分かったか?エジ。」
「……」
「エジ!!。」
「は、はい!!」
「しっかりしろ…今のお前は生まれたての赤ん坊だ、名前も今決められた、新しい命同然なんだ。」
「分かりました…。」
そう言って、Fは廊下の奥へと消えていった。
廊下の灯りは、暗くて、ほんのり橙色だった。
でも、寒かった。
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今日、僕は新しい名前をもらった。
【エジ】、それが僕の新しい名前だった。
あの男二人組のように、アルファベットじゃないよりましかと思ったが、2つ目の名前をもらうときほど、虚しいものは無かった。
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「来たか。」
Fともう一人、女性がいた。
エジと同い年くらいの、背丈は小さい女の子だった。
「こいつは今日からお前と行動を共にする、アズルだ。」
「…アズルです。よろしく…。」
「よ、よろしく!。」
思わずテンションが上がってしまった。
案外声が可愛かったからだ。
でも、僕と同じように、生死の淵のルーレットを体験したのかと思うと、複雑だった。
「…?」
エジの右腕には謎の時計が付けられていた。
昨日までは無かった。
「これは、なんですか…?」
「はぁ…お前、読んだのか?メモ、それはな、【ツグナイ】だ。」
「…つぐない…。」
「あ、時間だ、いって来い。アズルについていけ。」
エジとアズルは謎の扉の前に立たされた。
すると、ギギギギ、と古びたしい音を立て、ゆっくり、ゆっくりと空きだした。
スタスタ、とアズルは扉の奥の闇に消えていった。
エジが恐る恐る脚を前に出そうとすると、
「まて。」
「?」
Fが声をかけてきた。
「あの子、危ないから…注意するようにな。さ、頑張って来い。」
「あ、は、はい!」
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「過去は所有者の贅沢である。そうだろ?」
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