ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ¥緑白の雪崩¥ ( No.3 )
日時: 2012/01/16 18:02
名前: B判定 (ID: vgnz77PS)



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「緑白色の目の少年。エジ。」
「へ?」

エジは戸惑った。
突然口を開けたアズルの口から、どう答えて良いのか分からない言葉が吐き出されたからだ。
緑白色の瞳を持つ、エジの特徴は極めてそれだけだった。

「君は何故、ここにいるの。」
「それは…」

正直覚えていない。
気が付いたら冷たいコンクリートの空間にいた。
目隠しをされ、猿ぐつわをされ、謎の男たちの声がしただけだった。

「何をされた。」

エジの目の前をスタスタと歩きながら、淡々と直球質問を投げてくるアズルは、ときどき周りをきょろきょろと、落ち着かないようなそぶりを見せる。

「ロシアンルーレット、です。」
「Gか…。」

何でも知っているような返事だった。
まるで、ずっとその組織にいたような。
案の定、その通りであった。

「ツグナイを見て。時計に見えるそれは、長針がニンムの目標の位置を示している。」
「短針は?…」
「…あとで分かる。」

エジのツグナイの短針は30分を指していた。
2人とも長針は東北を指していた。

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何も聞かされていないエジは、おどおどしながらアズルについて行くだけだった。
見渡す限りの石造りの家が林立する西洋の町並みは、景色を変えること無く、エジの目に流れてくる。
道端に、古びた布を被ったホームレスがいた。

「あ…あぁ…水…。」
「アズル、水を欲しがってますけど…。」

バァン!!

石造りの壁に銃痕がつき、煙が立つ。
アズルの目には殺気が込み上がっている。
前髪で少し隠れていた目だったが、はっきりと分かった。
この娘は人を殺しかねない、と。

「私情を挟むな。ドミナのメモに書いてなかったのか?…」
「ドミナ…?」
「お前に名前を授けた男だ。」

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「生きたきゃさ、名前は捨てろや。」

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「もちろん。その名前が本当かは分からない。」
「…は、はい。」
「私情を挟むと、ニンムに支障が出る。死ぬか?」
「い、いえ…」

やはりFさんの言うとおりだった。
このコ、怖い。

ふと、アズルはそのホームレスを凝視しだした。

「…その布を脱げ。」
「こ、これはわわわ、私の大事な…」

バァン!!

「は、はいぃぃぃぃ…!!」

ホームレスは一発の銃声で言うとおりにして、布を脱いだ。
アズルはその汚いぼろの布を探りだした。
すると、何かを見つけたように、鬼のような形相をした。

「これは…【インぺジ】の称号の付いた札だ!!何故お前がこれを!!。」
「し、知らない!!お、おいらはな、なにもしらな…!!」

ドォン!!