ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 逃亡王子の物語〜Story〜 ( No.1 )
- 日時: 2012/01/09 16:37
- 名前: 鈴音 (ID: LA3FDWTf)
此処は、魔獣と魔物、そして人間が共存する、異様な世界……ストロンジ・ワールド。
魔獣と魔物は人間を殺すことなく、人間は魔獣と魔物を殺すことなく、世界のバランスが綺麗に保っていた。
しかし最近、そのバランスが崩れつつある。その異変のせいで、魔獣と魔物は人間を殺し、人間は魔獣と魔物を殺し、最悪な世界のバランスになりつつある。
そんな世界の中で、一人退屈そうにしている少年がいた。
彼の名は、メラルイン。メラルイン=ヴェルン。ストロンジ・ワールドの大陸にある、リヴァエイン国の次期王。現段階では王子である。
朝。
王宮内は、何時も以上に騒がしい。どうやらまた、魔獣に人間が殺されたらしい。しかしメラルインは退屈そうに部屋のベッドから出る。
「おぉ、メラ。起きたか。」
メラルインのことを"メラ"と呼ぶのは、リヴァエイン国の王、メラルインの父でもあるゴドーだ。
「お父様………一体何の騒ぎですか。」
王宮が騒がしいことを、耳障りでしかないような言い方でいうメラルイン。眉間にしわを寄せながら嫌そうに言う。
「城下町の工具屋、あるだろう。」
城下町の工具屋、と言うものは、王宮内のいろいろなものを整備する、王宮御用達のお店である。
「………そこがどうかしたのですか?」
「そこの主人が魔獣に殺されたらしいんだ。」
神妙な顔をしてメラルインに言うゴドーは、珍しく冷や汗をかいていた。彼は国の王として、一番最適な人間であり、何時も冷静にしているのだが、今回は冷や汗をかくほど、不味い事態になっているということ
だ。
「………ふぅん。まあ、僕には関係の無いことです。いちいち息子に、国のことを報告しなくとも良いでしょう。国の王というお方が、国民に弱音を見せてはいけません。自分の力で何とかしてください。」
まるで王子ではなく執事である。メラルインは物事を客観的にしか見ることが出来ず、たとえ肉親であろうとも、接し方は変わらない。