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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 甘くて紅い物語の先は【プロローグ更新!】 ( No.14 )
- 日時: 2012/02/01 20:44
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
第一章 僕の世界は異常無し【第三部】
許せない。
いつもと同じ一日を送ろうとしている、あなたの事が。
許せない。
卑怯なあなたと行動を共にする、同じく卑怯で物静かな少女の事が。
許せない。
容赦なく時を進める、この世界の事が。
許せない。
私の死を、面白おかしく広める世間の事が。
——全て許せない。
≪Sweet time≫の店内に入ると僕らは、店内のメルヘンチックな可愛らしい装飾に目を奪われた。それから「おっと、いけない」と自分を無理矢理駆りたてて、早速行動に移った。全て、ほんの何秒かの出来事だった。
不思議の国のアリスみたいなフリルたっぷりの衣装に身を包んだ若い女性店員の「いらっしゃいませ〜」という甘ったるい声も最後まで聞かずに、一目散に店の中央に設置されているお菓子の量り売りコーナーへと向かう。
ちなみに、正式名称は『キャンディ・ワゴン』らしいが、僕の場合は照れ臭くて未だにはっきりと言う事が出来ない。
「うわぁ……凄ッ」
「わぁぁ……うわ」
量り売りされているお菓子の種類は実に全五〇種類以上。量り売り用のポリ袋は季節限定のものも含めると軽く三〇種類を超えるという、この豪華さ。
——現役真っ只中の女の子が、見逃すわけないでしょ?
そう言う訳で、僕たちはポリ袋に約百グラムの色とりどりのお菓子を詰め——丁度、百グラムで三百円なのだ——急いで会計を済ませ、徐々に客が増えてきた店内から逃げる様に飛び出していった。
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