PR
ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 甘くて紅い物語の先は【森杏が死体で発見?】 ( No.23 )
- 日時: 2012/02/11 20:30
- 名前: 萌恵 ◆jAeEDo44vU (ID: amGdOjWy)
第二章 安楽椅子探偵など存在しない【第三部】
時計の針は三時を指し——。
放課後。
私は初めて友人、美野原香奈の失踪を知る。
学校ではまるでそこに存在しないかの様に振る舞われ、毎日続くのでそれを当然と感じながら過ごしていた私、二階堂未来。そんな私にも、友人と呼べる者が二人程いた。何もかもがちぐはぐで正反対で、光と陰の様に対になっている可笑しな二人組。
一人目は、私と最も親しい友人。名は、宮村琴乃。二人のうち、光の方に当たる少女で、私にはとても及ばないが、とても美しい少女であった。
二人目は時折可笑しな、狂った言動をちらつかせる少女。名は、美野原香奈。陰の様に湿っぽく、かと言って目立つ事も無い少女であった。
そんな陰の少女が、初めて明るみに出た。失踪、という極端な方法で。
話によると、日曜日、香奈は琴乃と二人で竹野原一丁目の人気菓子屋へ出掛けたらしい。ちなみに、私も一緒に行かないかと琴乃に誘われたが、甘いものが苦手なのと香奈にはとある理由で会いたくなかったのとで、同行する事を拒否した。——話を戻そう。それから三十分ほどして菓子屋から帰ってきた香奈と琴乃は、それぞれの自宅に戻り、数時間後に仕事先から帰って来た母親が香奈の不在を発見した……らしい。
また、香奈の失踪は森杏殺害事件よりも比較的軽く見られ、どうせただの家出だろうという噂があちらにもこちらにも流れていた。
私と琴乃は、香奈の行方について語らいながら、のろのろと家路を辿っていた。
「ねえ、未来」
話が一段落ついた時、琴乃が私の顔も見ずに朗々と呟いた。
切ります——。
PR