ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ミィツケタ…【3話更新!!】 ( No.13 )
- 日時: 2012/02/12 10:57
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
4話
「ふぅ〜…寝るか。」
家事を終えて、私は自分の部屋に戻った。そして、真っ青になった。
「しまった…。」
部屋の中には段ボール箱が散乱。まだ後片付け、終わってなかった。
「はぁ…。」
だいたい、ヨッシーがあんなこと言いだすから。何が「みんなで一人かくれんぼ」だ。呪いとか、幽霊とか、そんなの、全部迷信なのに。
「あー…っもう。」
少しイライラして、私は近くの段ボール箱を蹴飛ばした。
ばんっ!!
大きな音とともに、段ボール箱は壁に激突。私は大げさにため息をついて、片づけを開始した。
押し入れ、戸棚に段ボール箱を入れていると、何か、柔らかいものが足に当たった。
「?」
見てみると、さっき蹴飛ばした段ボールから、白い柔らかいものが飛び出している。どうやら壁に当たった衝撃で段ボール箱が開いて、中身が出てしまったらしい。
その白いものを、引っぱり出してみる。
「あ…。」
それは、愛らしい顔をした白いウサギのぬいぐるみだった。垂れた両耳には真っ赤なリボンが結んである。瞳は黒っぽい青。深海のような青。吸い込まれてしまいそうな…感じ。
一瞬、綺麗なぬいぐるみだと思ったが、よく見るとかなり古い。汚れているし、タグもびりびりで文字なんか読めやしない。それに私が一番惹かれた目だって、右目に傷がついてる。
これ…いらないよね?
私は白ウサギを見つめた。その瞳を見つめた。左目にうつったのは、確かに自分。傷ついた右目にうつったのも、多分自分。なんだか、別人のように思えたのは、気のせいに違いない。
「おおっ!!いいじゃん!!」
次の日の学校での休み時間。お父さんの出張のことと白ウサギのぬいぐるみのことをみんなに話すと、ヨッシーは大喜びした。
「最高じゃん!!それに明日って丁度土曜で休みだしさ。」
「まあ、やるにはええ条件やな。」
「サンキュー結良!!私もどうしてもやりたかったんだ!!」
それなりに喜んでる様子の6…5人。
喜んでないの、もちろん誰だかわかるよね。そう。美羽。
「うう…何でぬいぐるみ見つけちゃったの結良のバカぁ…。」
「ごめんごめん、美羽。今回ので怖がりを克服して。」
そう言いながらも、実は私は乗り気じゃなかった。
なのに、どうしてだろう?どうしてぬいぐるみ探して、みんなでやる「ひとりかくれんぼ」の場所を提供してしまったんだろう?
なんだか…なんだか、やらなければいけない気がする。ていうか、私の中で誰かが「ひとりかくれんぼ」をやらせようとしているみたいだ。
ため息をつく。もう、私はどうしちゃったんだろう。
「……ら、…うら、ゆうら、結良!!」
聞きなじみのある男の子の声で、私はふっと我に返った。
「え?ええ…と?」
「大丈夫?さっきからぼーっとしてたけど。」
巧が怪訝そうな顔をして、私を見ている。
「あ…大丈夫。ごめん。考え事してて。」
「そーそー。それでさ、今話してたんだけど、」
「やめとけよ。橘に頼りすぎだろ。」
「でもさー。」
日室君がヨッシーをたしなめる。え?何が?
「ヨッシー、結良の家に泊まりたいんだって。明日。真夜中に家抜け出すよりは堂々と泊まった方がいいみたいよ。」
光里が説明してくれる。すると、また私はこう言っていた。
「いいよ。別に。」
ああ、どうして?私、本当にこう言おうとしてたんだろうか。
「6人とも、来ていいよ。」
「でも…悪いだろ。」
「いいよ、日室君。おいでよ。」
「太っ腹やなあ、橘。ま、ええんちゃうか?7人で一日過ごしたらおもろそうやん。」
「う〜ん…私も…賛成…?」
「直前まで一緒にいれるし、大丈夫だろっ!!小宮!!」
ヨッシーが美羽の肩を叩いて系気づける。
「私も結良の家行きたい!!」
光里も楽しそうだ。
「よ〜し決まりっ!!明日…11時に橘家に集合!!ちゃんと着替えとか持ってくること〜!!」
「「「「ラジャー!!」」」」
仕方ない。もう、みんな(?)やる気満々。やるしか…ないだろう。
…この時、私は気付いていなかった。
私の家に、来ること。
それについて、何も言わなかった人がいた。
感想も。ラジャーの掛け声さえも。
…野本巧。
モウイイカイ
マアダダヨ
モウイイカイ
モウイイヨ
ミィツケタ…