ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ミィツケタ…【4話更新!!】 ( No.15 )
- 日時: 2012/03/08 14:20
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
5話
朝起きると、もうパパはいなかった。
時計を見ると、朝の7時30分。みんなが来るまで、あと3時間30分。
蒲団をたたんで、チーズパンをくわえたまま、掃除を始める。普段は忙しくて掃除は適当になっちゃうから、今日みたいに休みの日はちゃんとやる。
チーズパンを食べ終わると、キッチンの掃除。やりながら、用意しておいた牛乳を飲む。
掃除が終わったら、洗い物。…って言っても、コップだけだけど…。
洗い物が終わると、私は自分の部屋に行った。
押し入れの中から、とある箱をとりだす。中にはあの…ぬいぐるみ。
深海を思わせる丸い目。笑ったような口元。垂れた長い耳。両耳に着いた赤いリボン。
裁縫道具とぬいぐるみを持って、リビングに戻る。テーブルに着き、‘作業‘を始めた。
裁ちばさみで、ぬいぐるみの右横を切り開く。中に詰まった綿を引き抜く。
ぺたんこの布になってしまった白ウサギを一度置いて、キッチンからお米を持ってくる。
ザザザザザ…
お米をぬいぐるみの中に入れる。ぬいぐるみがだんだん膨らんでいく。
十分入れると、爪切りを持ってきて、薬指の爪を少し切った。
パチン
…何で薬指の爪を切ったんだろう。
そんなことを考えながら、爪をぬいぐるみの中に入れると、今度は短針、赤糸をとりだした。
切り開かれた場所を赤糸で縫い合わせる。結んで、あまった糸を白ウサギの胴体に巻きつけた。
白い布地に、赤い糸はとても目だった。
「結良?来たよー!!」
午前11時。みんながやってきた。
そして、入ってくるなり。
「うお〜!!すっげーっ!!広っ!!」
大声で叫ぶヨッシー。やめてほしい。近所迷惑だから。
「うるせえよ。キンジョメーワク。」
そう言ってヨッシーをはたく日室君。ナイス。
「「「おじゃまします。」」」
美羽、巧、松原君はそう言って入ってきた。
「おじゃましまーす!!」
元気な声で言うのは光里。
「いらっしゃーい!荷物、リビングに置いて!あ、こっちね!」
みんなが来たときはいろいろと騒々しい。案内して、騒ぐみんn…じゃなくて、ヨッシーを落ち着かせる。
「何する何する??どーするっ!?」
あー…まだ落ち着いてない…。
「お昼ご飯、食べに行くんでしょ?」
と美羽。
「で、その後ゲーセンに行く、と。」
と日室君。まあ、男子は確実にゲーム目的だね。
「じゃ、準備して行こう。どこ行く?」
と私。すると…。
「う〜ん、せっかくだから寿司屋!!」(ヨッシー)
「サイ●とか?」(日室君)
「あ、さんせーい!!」(光里)
「寿司y」(ヨッシー)
「「「「さんせーい!!」」」」(私・美羽・巧・松原君)
はい、サイ●に決まりました!!
なんか‘寿司y‘とかへんな音が聞こえた気がするけど、まあいい!!
「寿司屋〜…。」
みんなが荷物をまとめ始める。私もバッグに財布とハンカチと…。
「…結良。」
ふいに声をかけられ、びっくりして振り向いた。
「巧。何?どうかした?」
巧は何か、迷っているような顔をしていた。
「…大丈夫?」
「…ごめん、なんでもない。」
「え?ちょt」
「松原!!財布忘れないようにね!!」
「心配せんといてや!!」
…どうしたんだろう、巧。
と、ふいに巧のつぶやきが耳に入った。
「‘ななしさん‘か…。」
『ななしさん』
その響き、どこかで…。
モウイイカイ
マアダダヨ
モウイイカイ
モウイイヨ
ミィツケタ…