ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ミィツケタ…【6話更新!!参照100突破!!】 ( No.17 )
- 日時: 2012/03/29 11:43
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
7話
「橘、料理うまいな〜!!」
「毎日やってるからね。」
帰ってきて、お風呂に入って、夕ご飯。私はシチューを作り、パンと一緒に出した。好評。よかった。
シチューを食べながら、私は変な気分だった。かくれんぼ…やりたい?やりたくない?わからない。でもやるしかない。ここまで来たから。…でも、今ならギブアップできる?なんかやったら行けない気がするよ。ああ、でも、でも、でも…。
‘…やって。‘
「え?」
誰かの声が聞こえた気がして、思わず私は声をあげてしまった。
「結良?」
美羽が心配そうに言う。私は首を振る。ああ、もう。今度は空耳?
「あ、ごめん。空耳。もう、どうしちゃったんだろー?」
おどけたように言って、気持ちを明るくする。そう、空耳、空耳…。
…その時間は、確実に迫ってきて来ていた。
夕食の後、少し遊んで。そして…時刻は9時30分。
和室に布団をしきつらね、翌日の2時30分まで寝る。3時からかくれんぼを始める。最初の鬼は言い出しっぺのヨッシーだ。
私はめを閉じた。目の前が真っ暗になり、一瞬あのぬいぐるみの幻影が見えて、目を開けた。
ヨッシーと美羽、光里は寝てしまっている。巧と松原君はおしゃべりをしている。
「悪いな、橘。」
「ん?」
日室君が話しかけてきた。布団の上にあぐらをかいている。私もかけ部とんをはねのけて、敷布団の上に座った。
「ったく…昔からこうなんだよ。何かにハマるとやめられなくて、他人に迷惑かけようがお構いなし。よく仲良くしてるよな、俺。こんな奴と。」
「…でも、親友なんでしょ。」
「そう、親友。たまたまテニスが二人とも好きで、気があって。俺はこいつのキャラがなんだかんだで好きなんだろうな。」
日室君は少しはにかみながら言った。私は日室君を、そしてヨッシーを見る。二人とも、お互いを親友だと思ってる。お互いのキャラが好き。うん、本当の親友だ。ただの友達じゃない。
「いいね。そういうの。」
言うと、日室君は少し笑う。そしてため息をつきながら、仕方なさそうに言葉を発した。
「そういう奴だから、橘に対して悪いなーとも何とも思ってないよな。だから代わりに謝ります。ごめんなさい。」
最後はふざけた口調になって言った。私は笑って、いいよ、とつぶやく。
「んじゃ、俺寝るわ。」
「ん。おやすみ。」
日室君は勢いよく布団にもぐりこみ、そっぽを向いて寝てしまった。
「「「「「「何でケータイ?」」」」」」
午前2時30分。目を覚まして、私たちは異口同音にヨッシーに聞いた。
「だってさー!もし見つけられなかったら、面倒だろ?持ってこーぜっ!!」
「見つけられるでしょ…。」
家の中なんだし。わざわざケータイ持っていく必要ないよ…。
「ちぇっ…。」
「しょうがねえな…俺は持ってってやるよ。」
「マジで?サンキュー日室!!」
私は少し笑う。さすが、日室君だ。
「よし、じゃあ、ぬいぐるみの名前を決めよう。」
光里が意気込んで言う。
「名前?めんどいよー。」
「うーん。そうだな…。」
するとヨッシーがぽんと手を叩いて、言った。
「名前がないから、ナナシ!!」
「うわ、だっさ…。」
「そのまんま…。」
と、みんなが反応する中、巧は妙にこわばった顔をしていた。
「巧…?」
「ま、いいんじゃねーの。適当で。」
「…ま、いっか。」
みんな、しぶしぶ了承する。
ななし…ななし?
「包丁と、塩水と、ぬいぐるみはもう用意してあるんだよな?」
「うん。じゃあ…。」
私はうさぎのぬいぐるみを取り上げながら、言う。
‘…始めようか。‘
包丁と塩水はリビングに置いて、私たちはお風呂場に向かった。
お湯の貼ってある浴槽の上に、ぬいぐるみをかざす。
「最初の鬼はヨッシーだから。」
3回言って、浴槽に入れた。
…始まった。
モウイイカイ
マアダダヨ
モウイイカイ
モウイイヨ
ミィツケタ…