ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ミィツケタ…【10話更新!!参照100突破!!】 ( No.29 )
- 日時: 2012/05/06 11:13
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode
11話(日室Side)
誰かが、必死に俺を呼ぶ声が聞こえる。
「…………ん、………くん、……ろくん、…むろくん、ひむろくん!」
「…!」
薄く眼をあける。…ダメだ。見えない。家じゅうが暗いせいだ。
「っ…。」
「「日室君…!」」
「「日室…!!」」
橘、小宮、鈴野、野本…俺は低く呻きながら、身体を起こした。
「よかった…無事で…。」
橘がほっとしたように言った。俺はあたりを見回す。ここは…。
「リビングだよ。…松原の呻き声がしたから、行ってみたんだ。そしたら…松原はいなくて、日室が倒れてた。」
「それで私達も呼ばれて…とりあえず日室君をリビングに運んだってわけ。」
鈴野の声を聞きながら、俺は絶望感に浸っていいた。
松原は…助からなかったんだ。
「…何があったの?」
小宮が震える声で聞いてくる。
「…ぬいぐるみは、姿を変えられるってことか。」
しばらくして、野本がぽつりとつぶやいた。
あの出来事は、すべて話した。全員、顔面蒼白になっているに違いない。
「だとすると…これから先、離れて行動しない方がいいかな…ぬいぐるみにすりかわっても、気づけないまま…っていう可能性があるじゃない。」
鈴野が問いかけるようにこっちを見て来る。俺はうなずいた。
「俺も、その方がいいと思う…。」
そこまで言って、はっとした。
「俺、どれくらい気を失ってた?」
「えっと…30分くらいかな…。」
橘が腕時計を光らせて答える。俺は時計をのぞきこんだ。
デジタル時計は、3:42と表示されていた。
残り時間は、1時間18分。
「…じゃ、じゃあ…これから、5人でどうするの…?」
小宮がきいてくる。俺は答えにつまった。
義隆も松原も放っておけない。…探さなくちゃ。
「5人で…いや、俺と野本、あと女子3人の2グループに分かれて…義…五十嵐と松原を探そう。」
「「「「…うん。」」」」
全員うなずく。すると橘が、口を開いた。
「…明かり、つけよう。その方が探しやすい。」
俺は同意した。今更、ひとりかくれんぼもくそもない。
鈴野が立ち上がり、電気をつけに行く。スイッチに長い指をのせ、押した。
「…え?」
「どうした?」
鈴野は小首をかしげ、もう一度スイッチを押した。
パチン。
確かに、スイッチが押された。しかし、リビングの電気は一向に着く様子がない。
「え…?え…?」
「…ブレーカーが、落ちて、るんじゃ。」
「いや、それはないよ…だって、テレビが、ついてる…。」
リビングにあるテレビは、砂嵐の画面だ。ついている。ブレーカーが落ちていれば、テレビだって消えるはず。
「どうなってんだ…。」
俺は頭をかかえた。どうなってんだ。いったい、この家に、何が起きてるって言うんだ。
「…仕方ない。懐中電灯、持ってこよう。」
「じゃ、私行ってくる。」
橘がリビングを出て行こうとする。
「おい、待て!一人じゃ危ない。」
「あ…そっか。」
橘は足を止めた。
「じゃあ、僕も行く。結良とは幼馴染だから、家にも遊びに来たこと何回もあるし。」
「…そうだな。頼む。」
橘と野本がリビングを出る。
数分後、3つの懐中電灯の光が入り口に現れた。
「サンキュ…?橘…?野本…?」
俺は二人の顔を見て眉をひそめた。
驚愕した顔で、何かを見ている二人。
懐中電灯の光は、リビングにあるテーブルを照らしている。
「何だ…どうし…!」
テーブルの上を見て、俺も悲鳴をあげそうになった。
もともと置かれてあった包丁の位置がずれていて、
刃先が、血に濡れていたのだ…
モウイイカイ
マアダダヨ
モウイイカイ
モウイイヨ
ミィツケタ…