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Re: ミィツケタ…【11話更新!!参照100突破!!】 ( No.30 )
日時: 2012/05/18 12:18
名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.cgi?mode

12話

「…あ、あったあった。」
懐中電灯、ひとつ発見。私はそれをつけて、あたりを照らす。
ここは物置。懐中電灯は確かここに3個ほどあったはず。
「…あった?」
「えーと…あ、1…2個!よし、3個見つかった!」
私は見つかった懐中電灯を持って、巧にひとつ渡す。
「いいよ、僕、2つ持つから。」
そう言うと、巧は私の手から懐中電灯を1つとった。
「ありがと。」
私たちは物置を出る。ドアを閉め、リビングに向かった。
「…そういや、懐中電灯全部ちゃんとつくかな?」
「1回、つけてみよっか。」
巧はそういうと、懐中電灯のスイッチに指をかける。一瞬、心臓の鼓動が激しくなった。…もし、つかなかったらと思って。
ふいに、前にリビングが映し出される。懐中電灯が、ついたのだ。
よかっ…た…?
私は目を凝らす。
巧のつけた懐中電灯の光は、リビングのテーブルを照らしていた。
そこにあるものを見て…私は、言葉を失った。
そこにあったのは…血濡れた包丁。

「…今、ここにいるのは俺と野本と橘と小宮と鈴野だ。」
言葉を失い、包丁を見つめていた私達に、日室君が唐突に言った。
「誰も…怪我とかしてないな?」
「「「「…うん。」」」」
「つまり、この血は…ほかの誰かの物ってことになる。」
わかってはいたが、それを聞くと暗い気持ちが胸に湧き上がった。つまり、この血は。
「この家にいるのは、俺たちと、五十嵐と松原、それにぬいぐるみ。この血は五十嵐か松原の血で、ぬいぐるみに襲われたと考えるのが妥当だろう。」
話し方は冷静だが、日室君の声がかすかにふるえているのがわかる。
「…さっき言ったように、絶対単独行動はしないで、2グループで行動しよう。…いいな?」
みんな、無言でうなずく。
もし、ぬいぐるみによって、ヨッシーか松原君が怪我をさせられているとしたら…なおさら、早く見つけなくては。
「じゃあ…懐中電灯は女子グループは2個、男子グループは1個で…って、小宮?」
日室君の声で、私は美羽のほうを見た。
今まで終始無言だった美羽が、がたがたと震えながら崩れ落ちる。
「もういや…!ヨッシーも…松原君も…ぬいぐるみに…!このままじゃ私たちも…!」
「大丈夫…ねえ、美羽。私たちがついてるから。1人にならなければ、大丈夫だから…。」
私はしゃがみこみ、美羽を軽く抱きしめた。もちろん美羽を安心させるというのもあるけれど、私自身が安心するためでもあった。
でも、美羽の震えは止まらなかった。
「もういや、いや、いや!いやああああああっ!」
悲鳴をあげ、私を突き飛ばす美羽。あまりの勢いに、私は尻もちをついた。
「助けて!誰か助けて!」
絶叫しながら、リビングを飛び出す美羽。背筋がすうっと寒くなった。
「美羽!」
「単独行動はするなっ!」
私は懐中電灯を一つつかむ。日室君もひとつつかみ、明かりをつけた。
私たちは急いで、リビングを飛び出した。

モウイイカイ
       マアダダヨ
モウイイカイ
       モウイイヨ
ミィツケタ…