ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ミィツケタ…【13話更新!!参照200突破!!】 ( No.34 )
- 日時: 2012/07/01 10:39
- 名前: 久蘭 (ID: uWXzIoXb)
14話
「美羽…!?」
美羽は何も見ていなかった。ぼんやりとした顔で、口を半開きにしている。その口が、かすかに動いた。
「…ん…る。」
「「「「…?」」」」
「よ…でる。」
小さい、かすかな声。
「…よんでる。」
「呼んでる…?」
「美羽、誰が?何で光里の手をねじったの!?どうしちゃったの!?」
「結良!!」
巧が諭してくる。頭が少し冷える。恐怖で、思わず大声を出してしまった…。
美羽がふらっ、と歩き出した。ふらつきながら、美羽はどこかに向かっている。
「…追いかけよう。」
日室君が言って、美羽の後を追い始めた。
「そうしよう。小宮さん、なんか変だから、ついていった方がいい。…鈴野さん、大丈夫?」
「ふう…痛た。大丈夫。ありがと、野本。結良、行こう。」
「う、うん…。」
よかった…光里、元気そうだ。
日室君が早く早くと手招きしている。
私達は急いで、日室君と美羽の元へと向かった。
美羽はふらふらと、しかし確実に、どこかに向かって歩いている。
…どこかに向かって。
「呼んでる…行かなくちゃ。」
「美羽…。」
ときたま、やけに切羽詰まった声で美羽は言う。
「小宮…。」
日室君も心配そうにつぶやく。とにかく、美羽から目を離すとまずいということは、感じていた。
…それは突然だった。
「!?」
「美羽!?」
美羽は走り出した—何の前触れもなく。
「美羽!!」
「待って!!」
みんなが叫んでも、聞く耳を持たない。美羽は走る、走る…私達は、それを追いかける。
バタンッ!!
ガチャッ!!
「「「「!!」」」」
美羽がお風呂場に飛び込んだ。扉が勢いよく閉まり、鍵のかかる音が響き渡る。
「しまった!!」
巧と日室君が扉を開けようとする。でも、鍵のせいで開かない。
「結良、ここどこ!?」
「お風呂場…。」
「ぬいぐるみの本拠地じゃない…!!」
私と光里も、巧と日室君に加勢する。お願い、開いて…!!
ガチャッ。
「「「「!?っうわっ!!」」」」
ふいに鍵の開く音がして、私達は勢いよく床に倒れこんだ。
なんで鍵が急に開いたのかを考えている暇はなかった。
「美羽!!」
暗いお風呂場で叫ぶ。
でも…何も返ってこない。それどころか…
「…誰も、いない…?」
お風呂場には、まったく人影がなかったのだ。
「うそ…。」
誰も…いない…。
「くそっ…!!遅かったか…!!」
このお風呂場には、このドアと、小さい窓一つしか、出入りできそうな場所はない。しかも窓はとても小さいから、人が通れるとは思えない。
また、一人…。
ぬいぐるみに…。
さらわれた…。
モウイイカイ
マアダダヨ
モウイイカイ
モウイイヨ
ミィツケタ…